いらないお金2
「ソーセージには、ケチャップつける派?」
口の中で茹でたてのソーセージがパリンとはでる。肉汁がスープになって口の中に広がる感じが好きだ。正直、言えばつけたりつけなかったり半々にしたり、何ならソースとケチャップを混ぜてバーベキューソース風にして食べるのも旨い。
何故こんな話になったかといえば、一人なら、適当にやれば良かった事でも、二人で生活していくのなら、色々なすり合わせをしなければならないと思ったからだ。
つまり、これはすり合わせの取っ掛かりだった。
「うーん、そうですねー?……」しばらく頭を左右に振って時間をかけながら考え込む岩波さん。振り子かな?なんて訳の解らない事を考えながら彼女を見ていると、何となくホッコリしてしまう。
「何もつけなくても、ケチャップをつけてもどちらも美味しいですよ?美味しい物を食べてるんですから、当たり前です」フォークにソーセージを刺して「ケチャップとマヨネーズを混ぜてつけると美味しいんですよ?」ニッコリ笑った。
それもそうか、そんな方法もあるのか?不思議と笑顔が込み上げて来た。
人が一人増えれば新しい考え方が増える。思いもしなかった事が現れる。
答えは、AかBだけじゃないCやDでも良いのだ。
「すり合わせ難しいなぁ」言葉とは、裏腹に何となくウキウキしている。僕は、冷蔵庫に向かってマヨネーズを取りにいった。
「今、そのケチャマヨが食べたくなった」
「はい、凄く美味しいですよ!?」嬉しそうに笑う彼女が急にため息をついた。急に不安になる。そうだ、今日は1日色々な事がありすぎた。思い出すのも嫌になる位。
「……十本あったソーセージ、私の分は無くなりました」その世界が終わったかの様な顔に僕は肩を震わせて笑いを堪えた。食べれば終わるよ?なんて言ったら怒るかな?
「お徳用パックまだ沢山ソーセージあったでしょ?全部やっちゃおうか?」
「良いんですか!?」岩波さんが復活した!!
「でも、今日はソーセージ食べ過ぎだからな?」目に見えて岩波さんが、しょんぼりした。
その変化に耐えられずに、つい笑ってしまう。
「ソーセージそんなに好きなんだ。まぁ食べ過ぎは本当だから後、五本ずつね?」
「やった!!いや、でもソーセージが好きってよりも、美味しい物はみんな好きでなんです!!」フフンと、どや顔をする彼女に、何故か自分の中でスイッチが入ってしまう。
「おぉ、言ったな?なら、もっと旨い奴食べさせてやるよ」
僕は数本ソーセージを袋から取り出すとパスタを作る時に余ったベーコンを縦半分に切り、ソーセージに巻き始める。
「これ、焼くんでしょ?これ焼くんですよね?」僕が料理する所をワクワクと眺め始める。
「フライパンに油をひき、ベーコン巻きソーセージを焼き始める。しばらく焼いてから……ブラックペッパーと粉チーズを多めにかける!!カロリー増マシだ!!」少し、調子に乗ってきた気がする。
そして、四本残してお皿に出し、卵を二個フライパンに落として目玉焼き作る。
「穗村さん、今度ハンバーグ作ります!!絶対作ります!!負けませんよー!!私のハンバーグは美味しいんですから!!」どうやら、僕は彼女の闘争本能に火をつけてしまったようだ。
「楽しみにしてる。よし、アルミ箔で蓋をしてっと」後は黄身の表面が白くなるのを待つだけだ。
「ご飯食べたくなりますね?」確かに、今日の主食はパスタだしね。そして、岩波さんの主食はあらかた平らげられていた。
「確かに、でもごめん米は炊いてないんだよね」
うーん、マヨネーズに醤油を出して、サラダのレタスと、安っぽい食パンを取り出し、フライパンの目玉焼きを二つに分けて別々のお皿にのせる。
その後は、食パンの耳を切ってから油の変わりにガーリックバターを入れてまずは耳を切った食パンを軽く焼く。後は焼いた食パンにレタスとベーコン巻きソーセージエッグをマヨネーズをつけてから挟む。
「ほら、絶対旨いぞ!?」彼女にトーストサンドを渡すと、パンの耳を更にフライパンで焼き始める。
「天空の城の奴の倍は美味しそうー。たっ食べても良いですか~?」よだれを垂らさんばかりの岩波さん
に何も言わずにサムズアップすると、「やった!!」と喜んで大きくガブリと食べた。天空の城の奴って目玉焼きだったかな?
「くーっ、悔しいけど美味しい!!美味しいけど悔しい!!」涙を流さないばかりにバケバク食べる岩波さんを見て、作って良かったと思う。
「僕は、焼いたガーリックバターパンの耳にチーズつけよう!!」今日はカロリーとか、塩分過多とか気にしない!!
近くで発砲事件があったって言うけど、今はそんな事はどうでも良くて、二人で美味しい物を食べよう!!買ってきたライムサワーでも空けようかな?岩波さんコーラなら飲めるかな?
「トーストサンド最高!!このパンの耳美味しい!!」
「うー、味噌汁が温まるなぁ、パスタいくらでも入るよ!!後はサラダ、サラダ、野菜を食べろ♪!」妙な節をつけて歌うと岩波さんが爆笑している。こんな楽しい食事はいつ以来だろうか?
正直言おう、いつもの数十倍はテンションを無理矢理上げている。そうでもしないとやってられなかった。
多分、岩波さんも……。
テンテロテンテンお風呂が沸きました♪
軽快なメロディーと共に、急に沈黙が訪れた。
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