第3話 初恋
兄が、私の初恋だったと思う。
初めて、兄にあったのは小4の午前授業だけあった午後だった。
小学校から、新しい新居への帰り道に迷い、家についたのは、夕方の4時だった。
新しい家は、私に他人の顔をした。真っ白な馴染めない外壁の新しいペンキの匂いは、私を新しい家族からもはねつけるような鼻を突く匂いで、辛い。
馴染めない家のドアを開ける。
リビングのオレンジ色に染まる嫌いな色の白いソファーに、見知らぬ学生服を着た男が座っていた。
それが、兄ミタカだった。
私に気がつくと、困ったような、はにかんだような笑顔で笑う。
小学生の私からみた高校生は、大人に見えたし、戸惑った。
「さやかちゃん、初めまして。佐藤ミタカです。あっ、君も佐藤か・・・」
兄は、自虐的に笑うと、小学生の私に一礼して、自分の部屋に行ってしまった。
夕日のオレンジ色に染まる、兄の少し涼しげな細い瞳に、自分より倍はある高い背に、さらさらした黒髪に、兄と言う人に、ミタカに、私はあの瞬間、恋に落ちたのだ。
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