第2話 本当の愛を
公職選挙法に違反したと言うことで今まで俺についてきた支援者も次々と離れていった。
みんな手の平を返すようだ。
ついには市長と言う地位も名声も親の
ボロい借家で俺はひとりで嘆き悲しんだ。
「バカだ。俺は…… 市長になったばかりに…… 金も屋敷も全て
俺はワンワンと泣き崩れた。
笑い話にもならない。
俺ひとりバカを見た感じだ。
身銭を切って、寄付をする政治家などたったのひとりだっていない。
そのための公職選挙法だ。
新型感染症で国民が苦しんでいても誰ひとり給与を削ろうとか、ボーナスを削減しようなど言わない。《注.1》
それが政治家だ。
貰える
世間の常識など通用しない。
自分達の作ったルールに守られているのだ。
もう立ち直れないと思った。
その時、唯一、手を差し伸べてくれる人が現れた。
「
優しい女性の声が聞こえた。
「えェ……❓」俺が見上げると側近の美人秘書 美浦愛里が微笑んでくれた。
「
「
ヤケになり俺は彼女の手を払い
「いいえ、あなたにはまだ私がついています」
「フン、
巨万の遺産も何もかも
全て、君の
君に
屋敷は人手に渡って、こんなボロい借家住まいだ❗❗
『世界一貧乏な市長』だ❗❗
しかもその市長の座も追われた❗❗
公職選挙法ッて言うまやかしの法で、上級国民の議員や官僚は守られているんだ❗❗
誰ひとり恵まれない子供たちに寄付なんか出来ないようにしてあるんだ❗❗
自分達だけ甘い汁を吸って、のうのうと生きるために❗❗」
「ええ、ですが、あなたは、まだ
「うゥ…、夢……❓」
「あなたは、十の夢……トムでしょう。
夢を叶えるために市長になったんですよね❗❗」
「ン…、十の夢……」
そうだ。
俺の夢は、楽をして自堕落に生きると言うことから、いつしか、ふるさとの【美浦市を再建する事】に変わっていった。
だが、その夢も破れた……。
どんなに善意で寄付をしたと言っても法律に反すればバッシングを受ける。
実刑は免れたが書類送検されてしまった。
結局、全会一致で市長の座を下ろされた。
口だけ綺麗事を言っている政治家が、この世界を動かしているのだ。
どんなに新型感染症で庶民が困っていても、上級国民は生活のレベルを下げることはない。
「
「え、何をバカな事を言っているんだ……
僕は全てを無くしてしまったんだよ。
何で今さら……
莫大な遺産があった時は、いくら結婚を持ち掛けても断ったクセに」
「大丈夫❗❗ ずっとあなたの事を見てきました。あなたは何も間違っていません。
あなたには、まだ私がついています❗❗
さ、立って下さい❗❗」
「あ、愛里……」
「パンドラの箱には最後に【希望】が残っていたんですよ」
「希望…… そうか。ありがとう……」
全てを喪った俺だが、最後に【希望】を手にした。
本当の愛を手に入れたようだ。
( ^-^)ノ※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆
《注.1》:これは、主人公の
実際の事とは違いフィクションですので、ご容赦下さい。
∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆
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