安全地帯(仮)
「ダメです」
小柄な犬か猫も抱き上げるかのような気軽さで寝室に連れ戻された。一か八か、睡眠薬を入れた麻婆豆腐を冷蔵庫に入れておいたら食べてくれた。薬の量が足りなかったか。激辛とはいえ、異物に気づくかもしれないと心配で加減が解らなかった。離してと手足を無茶苦茶に振り回しても分厚い腕の胸の間に抑え込まれてしまう。
「外は危ないから」
とんとんと背中を優しく叩く、夜泣きする赤子をあやすような所作が鬱陶しい。背丈も手足も倍以上、暴力を行使されれば自分の命はあっという間に風前之灯だ。それでも我慢ならない、何が保護だ安全だ、私はペットなんかじゃない! 何度叫んだか解らない言葉を吐いて、夜空の意識はぷつりと暗転した。
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