二章
1話 新しい冒険に行こう!
「まーじょさーん!」
「きーたーぞ!」
玄関をノックしながら、ルーナとリリアンが楽しそうに言った。
魔女はクリスに隠れるよう指示して、急いで玄関へ。
ドアを開けると、冒険装備のルーナとリリアンが満面の笑みで魔女を見上げた。
ちなみに、ルーナは自分で加工した鹿革のマントを羽織っている。
「いらっしゃい、可愛い冒険者たち(あまりの可愛さに、一瞬意識が飛びかけたわ! 美少女が2人揃ってわたしを求めるなんて破壊力抜群だわね!)」
魔女がジェスチャーで中へどうぞと伝える。
2人は顔を見合わせて、まず最初にリリアンが魔女の家に入った。
「可愛いルーナとともにリリアンが来たぞ(魔女さんはルーナの可愛さを分かっているようだ! ふふっ、なんせ、ルーナは世界一可愛い冒険者だからな! 中身は野獣だけど!)」
「可愛いリリちゃんと一緒にルーナも来たよ(魔女さんはリリちゃんの可愛さを知ってるんだよね? なんせ、リリちゃんは世界一可愛い冒険者だもんね! 見た目はカッコいい系だけど、中身はチョロチョロで可愛いの!)」
リリアンに続いて、ルーナも家の中へ。
魔女は2人をいつもの客室へ通す。
2人はリュックを床に置いて、ソファに並んで座った。
そして当たり前のように手を繋ぐ。
(美少女たちはお互いを可愛いと思っていて、特に照れることもなく相手を褒める! なんて美しい友情! そしてやはり当然のように恋人繋ぎ! 見ているだけでムラムラしちゃうわね!)
魔女は2人の対面のソファに座った。
「今回は昼間集合なんだね」とルーナ。
お昼ご飯を食べてから、ルーナとリリアンは魔女を訪ねた。
「そうね。今回はあまり遠くじゃないから、時差はないに等しいわ」
「どんな廃墟だ?」とリリアン。
「お城の廃墟よ。まぁお城と言っても、王様が住んでいるようなお城じゃないけれど」
魔女の言葉で、ルーナとリリアンは「やったー! お城だぁ!」と繋いだ手を上げた。
「ただ、普通に行っちゃうと難易度が低くなってしまうわ(美少女たちと変態プレイでイキたい! って堂々と言いたい!)」
「そうなんだ? じゃあ、リュックは置いて行こうかな?」
「そうだな。レベル2じゃないと意味ないし」
ルーナが提案して、リリアンがそれを受け入れた。
「それでも少し足りないわね」魔女が言う。「だから、わたしからも難易度を上げるためにいくつか提案があるのよ」
「なぁに?」
ルーナが小首を傾げて、可愛らしく言った。
その様子を見て、魔女とリリアンが悶える。
魔女は表情に出さずに内心で。リリアンは身体をクネクネさせながら。
魔女は小さく咳払い。
「まず第一に、持ち物は短剣とメタルマッチのみ。どうかしら?」
「水筒もダメなのか?」
リリアンの質問に、魔女が力強く頷いた。
「まぁ、お城なら何か容器あるよリリちゃん。オッケーしよ?」
「ルーナがいいなら、あたしはいいぞ!」
「第二に、お城の敷地外に出ないこと。城壁の内側だけって意味ね。庭は好きに出ていいわ」
ルーナとリリアンは同じタイミングで頷いた。
「第三に」魔女がとっても真剣な様子で言う。「全裸で行きましょう(美少女がずっと全裸! 廃墟で全裸!! これは興奮するわ! 廃墟で! 全裸! そう! わたしが覗きながらハッスルするために! まぁ全裸じゃなくても、わたしはいつもハッスル状態だけれどね!)」
魔女は表情が緩みそうになるのを、必死に堪えた。
真面目な提案であると主張するためには、嬉しそうな顔をしてはいけない。ロリコンがバレると困る。
「それはちょっと……まだ早いかな(そりゃ、私だってリリちゃんが裸だったらすごく楽しいと思うけどさぁ。リリちゃんをペットにしたみたいで……って、私も裸かぁ。なんだかドキドキしちゃいそうな気がするからやっぱりダメ!)」
「さすがに危ないし、あたしら全裸冒険練習はレベル4か5ぐらいだと思ってるから(ルーナだけが裸ならあたしは嬉しいけどな! ルーナ大好き! ルーナ天使! 天使は服なんてなくても天使!)」
「そう……それは残念ね(いやぁぁぁぁ! 美少女たちが引いてるぅぅぅぅぅ! さすがにレベル2で全裸はまだ早かったわね! わたしのバカ! 気が逸っちゃったのよぉぉぉ!! だって前回は全裸シーンあったのにぃぃ! 今回はだって、無理矢理じゃないと全裸シーンが拝めないじゃないのぉぉぉ! 廃城で服を脱ぐ可能性なんてゼロに等しいわ!)」
魔女は小さく項垂れた。
ルーナとリリアンは顔を見合わせて、なんとか魔女を慰めようと頷き合う。
「レベル4か5では、全裸やるよ魔女さん(魔女さんは真剣に、私たちの成長を考えてくれてる。それに友達だから、ションボリして欲しくないなぁ)」
「おう。あたしら、まだ早いってだけで、ちゃんとやるぞ?(魔女さん悲しそうだ。そうだよなぁ、魔女さんはあたしらを立派な冒険者に育てようって、そう思って言ってくれてるんだしな)」
「ええ。確かにレベル4ぐらいが最適だと思うわ。わたしも少し焦ってしまったようね。ごめんなさいね(ああん! 本当はいつも毎日全裸でいて欲しぃのぉぉぉ! もちろん言わないけれど!)」
「ねぇ魔女さん、他に何か注意点みたいなの、あったりする?」
ルーナはなるべく優しい声で言った。
「そうねぇ……」魔女は右手の人差し指を顎に当てて、考えながら喋る。「特にないけれど、魔物は出ると思うわ(まぁわたしが用意するのだけどね)」
「魔女さん、いつもありがとな」リリアンが言う。「場所見つけてくれた報酬、何がいい?」
「そうねぇ……おっぱいビンタかしらねぇ(今日も可愛い冒険者たちに膝に座ってもらおうかしらね)」
「じゃあ! 私が右ね!」
「あたし左!」
ルーナとリリアンはすごく楽しそうに立ち上がった。
「え?(わたしの膝大好きなの!?)」
魔女は自分の失言に気付いてなかったので、2人がノリノリな理由が分からなかった。
ルーナとリリアンがテーブルを左右から回避して魔女の前へ移動。
「ぼよーん!!」
ルーナが魔女の右の胸を引っ叩いた。
「ぼよよーん!!」
リリアンが魔女の左の胸を引っ叩いた。
魔女の胸が小さく揺れる。
魔女の胸はけっして大きいわけではないが、大人のそれだ。
「超楽しい!」ルーナが言う。「お姉ちゃんのより大きい!」
「揺れてるの面白いな!」リリアンが言う。「でも魔女さんの胸は大人だと普通だぞ! きっとクリス姉様は小さいんだと思う!」
2人は本当に嬉しそうに、ニコニコしていた。
(はうううううう! 美少女たちが!! ついに! わたしに! おっぱいビンタしてくれたわぁぁぁ! どういうこと!? 何が起こったの!? わたしの心を読まれちゃったの!? それともわたし、油断して本音出ちゃった系!?)
魔女は少しだけ困惑しながらも、自らの胸の細やかな痛みを噛み締めていた。それは死ぬほど心地よい衝撃だった。
魔女は顔を上に向ける。しばらく余韻に浸るためだ。
魔女がとっても嬉しそうな表情を見せたので、ルーナとリリアンも嬉しくなった。
だから2人は顔を見合わせて、そして悪い笑みを浮かべる。
「がおー! 野獣ルーナだぞぉ!」
「がおー! 妊娠させてやるぞぉ!」
2人で魔女に飛びついて、ソファに押し倒してくすぐり倒した。
魔女は笑いながらガチ泣きした。あまりの嬉しさに、今日死んでもいいとさえ思った。
(ああ、父さん母さん、産んでくれてありがとう。わたしがロリコンだとカミングアウトした時も、「見るだけにするんだよ?」って優しくしてくれてありがとう。今日、わたしのロリコン人生は報われたわ)
◇
小さな冒険者たちを廃城に送り届け、魔女は自宅に戻った。
「お帰りなさいませ、変態魔女さん」
クリスが棒鞭を手にペチペチしながら、満面の笑みを浮かべていた。
「……いるの、忘れてたわ……」
魔女は引きつった笑みを浮かべた。
クリスは連休を取得していて、魔女と一緒にルーナたちの冒険を見学する予定だった。
ルーナとメイドたちには仕事だと言って、クリスは朝から魔女の家にいた。
「ルーナとリリアンを全裸にして、その上、妊娠させてくれって?」クリスはずっと笑顔だった。「とりあえず、そこで」クリスは棒鞭でソファを指した。「尻を出しなさい。ロリコン叩き直してあげますわ。文字通りに」
「ち、違うの! 妊娠はリリアンが言い出したのよ!?」
「でも2人を全裸で冒険に行かせようとしましたわね!? 2人は騙せても、あたくしは騙せませんわよ!? 欲望のために言いましたわね!?」
「欲望に生きて何が悪いのよぉぉぉぉぉ!!」
魔女は叫んだ。
この後、年下のクリスに泣くほど尻を打たれ、魔女はやりすぎにゴメンナサイした。
(ルーナかリリアンならこれもご褒美なのにぃぃぃ! どうしてクリスはおばさんになってしまったのぉぉぉぉ!! 魔女さん悲しいわぁぁぁ!)
でもロリコンは死ぬまでロリコンである。それはどうにもならない。
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