第二章
第1話
トモルの背中は華奢ながらも男の背中で、舟を漕いでいる姿はミチルをときめかせた。小さい頃見た懐かしい背中だ。暖かい背中を感じながらミチルは眠りについた。
アシュガとアスターはもめていた。
「どうするの、アシュガ。ミチルが連れ去られちゃった」
アスターはアシュガの足元を行ったり来たりした。
「俺はわからない。あいつは誰だ、ミチルはどこだ」
「ちょっと、取り乱しすぎだよ、あの人はたぶんだけどミチルの好きな人だよ」
うろちょろするアシュガの足が止まった。
「ミチルの好きな人、だと・・・・・・?」
アスターは自分が言ってはいけないことを言ってしまったことに気づいた。
「た、たぶんだってば」
「たぶんほど信じられない言葉はない。どけ、解析する」
「な、なにを」
アスターの質問にアシュガは答えなかった。アスターは窓の外を見る。
「流れ星だ」
不吉な予感がした。アスターは思った。ミチルの言ってたあの人はあの男だと。危険人物ではないことは確かだったが、ミチルがいない日々を考えると気が遠くなった。アシュガは気が強い男だ。まもなくミチルを探しに行くだろう。
それが本当によいことなのか。アスターは疑問を抱いた。
「ミチルは好きな人のもとへ帰っていった・・・・・・」
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