T君の不思議な話
ta-KC
第1話 お葬式
これはT君が体験した不思議な話
怖いような・・・驚くような・・・
他の人とは違う不思議な体験・・・
今回はT君が不思議な経験をしていく
きっかけとなった初めての体験
T君 10歳 小学校4年のころの話
「○○のおじさんが亡くなったからTもお葬式に行くからね」
母からの突然の報告
○○のおじさんはT君が住む街にいる親せき
近くには住んでいたがほとんど会ったことはなかった
『Tはゲームが好きかおじさんも好きだから今度やろうか』
と言っていたのが唯一の思い出だった
顔をぼんやりといったところだ
しかし、母からこの報告を受けるこの年は○○おじさんの
話がよく取り上げられていた
どうやら癌になったらしく大変だ
ということだったみたいだ
まだ幼いT君には理解できてなかったが
とにかく大変なんだと思っていたその矢先だった
T君にとってはこれが初めてのお葬式
どのようなものなのかわからないことがたくさんあり
その日はただただ不安だったということだ
「こんにちは」
T君は知らない大人のなかあいさつだけはきちんとしていた
「T君大きくなったね」
おばさんがいう
小さいころに会っていたらしいが・・・
「今回は突然で・・・」
母がそのおばさんがあいさつしなにか話し込んでいる
T君は周りをみわたす
葬式の会場は公民館
パイプ椅子が左右にずらっと並び
真ん中が道になっていてその奥に
おじさんの棺が置かれ写真が飾ってある
T君はテレビのイメージで和室に正座
そんなものを思っていたのでその景色がやけに斬新に感じた
時間は立ち大人がたくさん集まった
その中子供はT君一人
とくに遊ぶことなくお葬式が始まるのを待っていた
すると始まりの時間になったのか会場へとみんな動き出す
T君は母に連れられて向かって右側のパイプ椅子の集まり
その中の真ん中あたりに座り前を見つめた
先ほど言った通り前にはおじさんの写真そして棺
その周りをきれいに飾ってある中
お坊さんが写真の前に座りなにか合図を前列の人に送る
すると会場は静まり、お経が始まった
「軟妙法蓮華・・・」
お坊さんの声が響き皆数珠を握っている
T君はよくわからないもののとにかく静かにその様子をみる
数分立つ頃今度はみんなでお経を唱える
下を向き祈るように数珠を手に合掌している
T君はお経なんてわからずどうしていいかもわからないので
みんなが下を向く中まっすぐ棺の方を見ていた
すると棺から白い影が
スッ
と起き上がった
T君は目の前で起こっていることが理解できずしばらく見つめる
さっきまで白かっただっけの影が人の形をして棺の上に立つ
【え!?】
さすがに驚き、目線を下に下げた
まさかのことに信じられない気持ちでいっぱいになる
子供ながらにあれは幽霊ではないかと感じた
しかし、この世にそんなものが・・・
いくら何でも突拍子ない考えに疑問をもち
もう一度目を上げて確認する・・・
そこにはなにもない
【やっぱり間違えか・・・】
そう思ったのも塚の間
目の端に白い何かをとらえる
首が反射的にその影を追う
するとそこには完全に人の姿をした
白い物体が真ん中の廊下を浮遊していた
その横顔はおじさんのように見える
それほどはっきりした影
浮遊と言ったのはその動きがあまりに滑らかに横にスライドしていたからだ
T君はその様子をただただ呆然と見つめた
おじさんのような白い影は会場の出入り口へ向かっていた
しかし、その影は徐々に階段を上るように上に上がり
そのまま天井を抜けていった
・・・
目の前で起こったことに呆然としていた
おじさんの幽霊が天に昇る
言葉は簡単だが目の前で起こったことは大変なことで
意識が普通に戻るまで天井を眺めていた
落ち着いたらお経が大きく聞こえた
お葬式が一通り終わり棺をバスに乗せる前
母に起きたことをありのまま話した
すると
「そう・・・おじさん成仏したんだね」
と言ってくれた
T君は信じてもらえないと思っていた
しかし、その天井に昇ったことを話したことに
良いことだったと思ったのだろう
初めてのお葬式でみた初めての幽霊
怖いことはなく、ただただ不思議な出来事
この世とあの世があるのではないかと思わせてくれたそんな出来事
魂というものを教えてれた出来事
信じられない人がいて当然
信じてくださいとは言わない
ただ不思議な出来事はこの世に存在する
そんなT君の不思議な体験
では・・・
また機会があったそのときまで
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