43  帽子考


というわけで 

目下愛用の帽子はベージュのレース製

筋金入りの自由自在 たたんでひろげてひっぱる

突然ピンと宙に浮く

新しいのを買ったらと 90歳の母の助言



思い出の中に浮かぶ帽子たち


赤いビロードの小さなつばの

冬の大学生として

フランス人との混血のインドネシア人みたいだった


洒落た麦わら帽子

夏の大学生として

列車の窓から高原に飛んで行ってしまった


新妻の黒いつば広の帽子

ミニスカートとサングラス時代

まだまだ未来は明るかった


それでおわり あとは毛糸で編んだもの

ヘアスタイル無視の時代

その後

うっかりと買った帽子は 全部失敗だった

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