26  ランディさんの本


いつからだったか

ランディ、田口ランディさんが

自分に真面目に向き合う人だと思った


最近の本「私の愛した男たち」の帯に

「あなたは最低、でも成長させてくれた」

そう書いてある


いやべつにだからどうだってわけじゃない

「ぼくの愛した女たち」という本を

私の元カレが書いたらどうなるんだろ?


小説みたいなごじゃごじゃは省くんだよ

彼の親父がめちゃくちゃだったわりには

戦後の若者はできればきちんと生きたかったし



昔の男だったよね、戦後でも

貧乏でも誇りを持って童貞でいた

周りには

少女のように無邪気な

樋口一葉のように凛とした

向日葵のように明るい

囁くように従順な

そんな女たちがいた、彼を憎からず、なんて


しかし残念なことに、

人一倍ホルモン分泌の盛んな

牝が彼を追いかけて他を蹴散らした

これこそ

まだ儒教的な彼が避けるべきタイプだったのに


彼女、(つまりあたしだけど)

「私だって人間なのよ」と言い散らかして

もう愛が消えた、とのたもうた


彼の打つ手はみな空を切った

「家事育児はみな彼女の自由に任せたのになあ」


友よ、(勝手にそう呼ぶけど)

君にはいまでもわからないのだろうけど

あれは女の機能をそなえた男だったのさ


やっぱり母親かい、終生の絆は


ともあれ、君は強い奴だ

スーパーマンのようだ

不思議な剛さを抱いている

友よ

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