9  今日のもみぢ



毎日小さなバスに乗る

手を上げないと通り過ぎる

キーッと止まりむーっと出る

少量の客は揺すぶられて


たった100円で駅に着き

たった一本の桜のもみぢ

見つけたから今日は佳し


優しくされても冷たくされても

それなりに諦める

右を見て左を見て慰めの

花の姿を探しつつ


おお、正面のガラスの中を

歩いて来るのは誰だ

まだまっすぐ立っているではないか

スタスタ歩を運んでいるぞ


我らどんづまりの貧民

おさらばするまで卑屈になるな

おいら、なりたての貧民

やがて慣れるだろう、このポジション

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