レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされた俺は大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ。なんとしても元の世界に俺は帰る~
第183話 おっさん、ストライキを調停する
第183話 おっさん、ストライキを調停する
「大変だ」
レベッカが血相変えてやってきた。
なんだろう。
ルイスが何かやらかしたのかも。
「詳しく説明しろよ」
「水晶魔導士達がストライキを起こした。おかげで金属魔導士会からの苦情が酷い。どうしたらいいのか分からない」
何だ。
そんな事か。
きつい職場ではままある事だ。
労働条件の改善を求めるのはどこも同じだ。
「ふーん、それで。要求は何だ」
「人間らしい生活を求めている」
「過酷だったのか」
「それはな。し、仕方ないんだ。鉱山の効率が落ちると色々な魔導士が文句を言ってくる。金はもちろん弾んでいるよ。モンスター討伐と大差ないはずだ」
「週休二日制を導入するんだ。効率が落ちるようで休んだ方が上がる場合もある」
「それは他の魔導士が納得しないだろう」
「騙されたと思って、試しにやってみろ」
「一ヶ月だけだぞ」
「前から気になっていたがレベッカは男言葉だよな。舐められない為か」
「それもあるが、鉱山の仕事は男の職場だ。貞操が危ないんだよ」
「おう、それは良くないな」
女に飢えているのか。
それは血気盛んになるというものだ。
「婚活パーティを開け。金取りは良いんだろう。魔導士だから、もてるはずだ。2級市民にお嫁さん募集を掛けろ」
「やってみる」
レベッカは大急ぎで去って行った。
数日後。
「助かった。礼を言う。週休二日もだが、婚活パーティを開催すると言ったら、二つ返事でストライキを辞めてくれた」
「治まって、良かったな」
「それで今、問題が一つ。労働組合の幹部が殺し屋に狙われている。ダイヤモンド魔導士会は今回の私のやり方が気に食わないようだ。ダイヤモンド鉱山では週休二日や婚活パーティは行われていない」
「まったく、ダイヤモンド魔導士はもう少し融通が利かせられないのか」
「ダイヤモンド魔導士会は折れそうにない」
「仕方ないな。今少しの辛抱だと言って懐柔しろ。それだけだとなんだな。休みを取った人員と一定期間で交代させるんだ。ダイヤモンド鉱山に行った後には長期休暇をとらせろ。もちろん休みの間に婚活パーティを開いてやれ」
「それしかないな」
「殺し屋は俺が返り討ちにしてやる。労働組合の幹部が会合を開くという偽情報を流せ。罠にはめるんだ」
「分かった」
酒場を貸切って宴会を開く準備をした。
幹部達は酒場に入ると、光学迷彩を使った宝石魔導士に付き添われ、裏口から退避させた。
酒場には俺一人が残った。
部屋の中には二酸化炭素を充満させて準備する。
これで火の玉をぶち込まれても威力が減衰するはずだ。
扉が突然開けられ、6人の男達が入って来た。
そして、窒息した。
駆け込んでくるからだな。
罠を警戒して部屋には入らないと。
扉の所にはエアーカーテンの魔導が掛けてある。
俺はもちろん新鮮な空気を魔導で作ったエアダクトから吸っている。
昏倒しているだけで死んでいない人間もいたが躊躇なく止めをさした。
どの魔導士にも手にはダイヤモンドが握られている。
6人もダイヤモンド魔導士を始末できた。
この後の始末をしないとな。
死体をアイテムボックスに入れ、新鮮な空気を入れる。
別の建物に居た労働組合の幹部を呼び寄せた。
「殺し屋は始末した。しかし、ダイヤモンド魔導士会は諦めないだろう」
「じゃ、どうすれば良いんだ」
「そうだ」
「そうだ」
「労働組合は解散して、地下組織にするんだ」
「こそこそやるのは嫌いだ」
「お前ら結婚しろ。そして父母会を結成するんだ。まさか女房や子供連れで密談しているとは思わないだろう」
「俺達の人生を勝手に決めるのか」
「赤ん坊が出来るまでとても待ってはいられないぞ」
「そうだ待てないぞ」
「何も嫌いな女と結婚しろとは言ってない。婚活パーティで理想の相手を見つけろよ。続いて子供の件だが。メンバーの誰かに子供が産まれれば良い。みんなで可愛がってやれよ」
「とにかく嫌だ」
「そうだ」
「そうだ」
「じゃ、次からは助けない。殺し屋はお前達が対処するんだな」
「ぐっ、提案を受け入れよう」
「結婚は墓場なんて言うけれど、良い事もある。困った事があればレベッカに相談するんだな」
家庭を持てば労働組合も極端な行動には走らないだろう。
命を賭けてまで労働条件をとは言わないはずだ。
困ったら相談に来るだろう。
今回の殺し屋をやったのは俺の仕業だとダイヤモンド魔導士会は気づいているだろうな。
だが、それで良い。
来れば返り討ちだ。
窮地に陥ったら、一旦地球に帰還して方策を考えるという、ずるい技が使える。
切り札もいくつか用意しておこう。
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