第180話 おっさん、スキルを与える
魔力通販で買える元素の調査は大体終わりだ。
知識伝授も終わった。
その際、放射性物質の知識は省いた。
核爆弾なんか生み出してほしくないからだ。
広場で何か催し物をしているようだ。
俺は興味があったので覗いたら、丸太が建てられていて人が括り付けられている。
「罪人の処刑よ」
レベッカが憎しみのこもった目でそう言った。
「アニータ、見るなよ」
「うん、後ろを向いてる」
「この罪人は人心を惑わし、魔導士を殺害した。よって死刑に処す」
「あっ、救世主様」
グレッグが寄って来たのを見つけた。
レベッカから離れグレッグのそばに寄る。
「グレッグか。救世主様はよせ。罪人は知り合いか」
「ええ、同胞です」
「何をやったんだ」
「生贄を奉げていた現場を襲撃して捕まりました」
それは助けないと。
どう始末をつけよう。
秘密裏にやるには。
「
ドラゴン対策用のドライアイスを出して二酸化炭素を処刑人に運ぶ。
もちろんドライアイスは魔力通販で買った。
処刑人がふらつく。
二酸化炭素は匂いもしないし、色もない。
暗殺にはうってつけだ。
「グレッグ、仲間がいるんだろ。今のうちに助けろ。
空気が入れ替わったと同時にグレッグが指笛を吹いた。
スキル原理主義の人が処刑人を叩きのめし、罪人を助け出した。
上手くいったようで何より。
辺りは悲鳴と怒号に支配された。
スキル原理主義の奴らと話したいが、レベッカがいる。
レベッカの護衛任務を放棄するのは避けたい。
どうしたものか。
「レベッカ、スキル原理主義をどう思う」
「魔導士の宿敵だ。見つけ次第殺すべき」
駄目だ。
両者の溝は根深い。
俺は花を買うと言ってレベッカを宿に残し、スラムにあるスキル原理主義のアジトに行った。
護衛任務を放棄した事になるが、1時間ぐらいなら問題ないだろう。
「襲撃は止めろ」
「ですが、非道は許せません」
生贄の現場を潰したいのは俺も同じだ。
かと言って一日、護衛放棄する訳にはいかない。
どうしたものかな。
「お前らスキルオーブを受け入れる覚悟はあるか」
「属性魔導でなければ受け入れましょう」
斬撃のスキルオーブは安くて使い勝手が良い。
安いと言っても1個300万魔力だ。
俺は魔力通販でスキルオーブを5個出してやった。
「俺が今から訓練してやる。
「
骨魔導士や塩魔導士ぐらいなら、余裕で相手出来るだろう。
それと、これだな。
「パチンコ玉だ。床に撒け。加速対策だ。浮遊の靴を出すから履くのを忘れるなよ」
「これがあれば」
「おお、そうだ。電撃対策も必要だな。そら耐電グローブだ。
「感電しない。凄いぞ。これさえあれば」
彼らに研究所の始末を任せ、その場を後にした。
夜中に俺の部屋をノックする音がする。
来たな。
首尾はどうだったか。
ドアを開けて彼らを迎え入れる。
「凄いです。何もかも凄いです。鍛錬した剣術がこんなにも役に立つなんて」
「斬撃スキルと剣術は相性が良いからな。聞くまでもないが首尾はどうだった」
「生贄の現場の職員は全て始末しまして、助けた人間はスキル原理主義に転向してくれました」
狂信者が増えるのはちょっと危ない気もするが。
生贄の現場を襲うところまで、俺だけでは手が足りない。
必要悪だな。
「今後、斬撃スキルを使える人間を増やしたいが、ダンジョンを制覇しないと」
「人員が足りない時は何時でもおっしゃって下さい。それと原理主義の教義が変わりました。斬撃スキルが至高です」
「剣術の鍛錬を10年ぐらい続ければ、斬撃スキルは得られると聞いたぞ」
「そうですか。今まで10年休まずに鍛錬した者はおりません。5年もやると鍛錬は鈍らない程度になります」
「後進には伝えてやってくれ」
「ええ、必ず」
生贄の阻止は彼らに任せても良いだろう。
俺は俺しか出来ない事をやるべきだな。
兄貴の持ってた
これがあればスキル原理主義の人間がダイヤモンド魔導士に太刀打ちできるかも知れない。
どうやって手に入れたのか今度、刑務所へ面会に行って聞いてくるか。
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