第156話 156.あっちを立てればこっちが立たず・・難しいなぁ

<真也>


怪我を負って治療した男女91人に5個入りハンバーガーとコーラのお持ち帰りセットをプレゼントして次回の来店も是非とお願いしておいた。

男女とも物凄く喜んでくれたんだけど、女性から大浴場が凄く気持ち良かったらしくて、お金を出してでも使わせて欲しいと全員に懇願されてしまった。

あのお風呂は従業員用なので皆が使える大浴場を考えてみると返答しておいた。


治療した人達が帰った後メイドのナディアに

「あのお風呂ってそんなにいい物なのか?」

って聞いてみると

「お貴族でもない限りお湯を使ったお風呂なんて凄く贅沢なんです。

一般の市民は朝になると暗いうちから共同井戸の前で順番待ちをして、水を汲んで家まで運んで水瓶に必要な水を溜める作業をしてから朝食の準備をしたり、色々な物にその水を使います。この王都では水は貴重品なのですよ。

此処のお風呂のように大量に水を使う事は相当に労力がかかりますし、第一水をお湯にする為に多くの薪を燃やさなければなりません。

薪もこの王都では貴重品なのです。


私達が使わせて頂いている大浴場では水も、お湯も蛇口を捻れば好きなだけ使えますし、シャワーという物も素晴らしいです。

それにボデーソープなどはもう凄く気持ち良くて、あれで洗うだけで天国にいるような気分になってしまいます。

シャンプー、リンスも自由に使えてあれを使うだけで自分の髪が夢のようにサラサラになってもう情勢にとってはあれは天国ですね」


ナディア長文での説明ありがとう

『それにしてもナディア褒め過ぎじゃないのか?』  

日本じゃごく普通に使ってる物ばかりだぞ?


「ナディアあれが普通だと思うぞ」

そんな俺の言葉にナディアは俺に駆け寄って俺を抱き締め

「いえご主人様が来られる前まではナンバーズ様の食事お世話や夜伽で休む暇もありませんでした。ご主人様が来られてからは夢のような生活です。ご主人様ありがとうございます。私達を捨てないでくださいね」


と言ってぎゅっっと俺を抱き締めた後おれから離れたナディア

『アリシャの顔が怖い・・・』


「アリシャしょうがないだろ!!彼女達だってこれからどうなるのか解らなくて不安なんだ。出来るならば俺だって誰かに此処を任して他の事をしたいんだ。ただ誰か代わりの男性を付けるにしてもこれだけ多くの女性だけの職場だ。

変なのを付けたら確実に此処が乳児院みたいに出産ラッシュになっちまう。

此処が軌道に乗るまでは俺が見るしか無いだろ」


って取り合えずの俺の言い訳にアリシャは

「真也が此処をどうにかしなきゃいけないのは解っているのよ。でも心が反応しちゃうのよ」

って悔しそうに俺を見る


『嫉妬・・か』


・・・


『あっちを立てればこっちが立たず・・難しいなぁ』


・・・ 

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