【旧版】魔力で繋がる新世界!邪神にチートと寝取り魔法を与えられた俺は異世界でのんびりとスローライフを送ることにします
うたかたとわ
第1章
第1話 異世界転移
「……あれ?ここは?」
気がつくと俺は真っ白で何もない空間に一人たたずんでいた。確か俺は仕事の休日に、ウイスキーをしこたまキメて酔っ払いながらコンビニに向かって歩いていたはず。
「貴様は私が召喚した」
俺の目の前に、褐色肌に黒髪をオールバックにしたやり手悪役ビジネスマンみたいな男が現れる。その男の説明によると、どうやら俺は異世界に送り込まれることになったらしい。
「今なら貴様を前世に戻すことが出来るがどうする?」
そう言って俺に見せられたのは、コンビニに買い物に行くときに着ていた部屋着のスウェット姿でトラックと正面衝突した俺の無残な姿であった。これはもうダメだろう。
前世には未練もないし、あいにく肉親は一人もいない。このまま異世界に旅立つのも、面白いかもしれないな。
そう思った俺は気持ちを入れ替えると目の前のスーツ姿の男の提案に快諾し、異世界へと旅立つことを決心する。
「ほう!邪神である私の提案に乗るとは、貴様も酔狂な男だな!」
「えっ!?あんた、邪神だったの?」
目の前の男が邪神だと聞いて俺は驚き声を上げてしまう。てっきり神様に異世界転移させられるのかと思ってたけど、よりによって邪神とは。
「あの~、もしよかったら邪神様に転移させられることのデメリットを教えていただけると……」
俺はできるだけ低姿勢で邪神に便宜を図ってもらおうと画策する。異世界に転移してすぐに、世界の敵認定なんてされたら嫌だしな。
「ククク!我の使徒だとバレたら、勇者に殺されそうになることくらいだな。創造神と我は相性が悪いゆえ、創造神の使徒に貴様の命を狙われることになる」
「それ、ヤバいから!」
案の定、邪神の使徒は世界の敵だった。創造神に転移させられた勇者に、俺の命を狙われるって不味いだろ。
どうやら邪神の話によると、異世界には邪神によって転移させられた者と、創造神によって転移させられた者がいて、邪神によって転移させられた人間は世界に混沌をもたらす者として、勇者に命を狙われることになるのだとか。
「まじか……。よりによって邪神に転移させられる側になるとは……」
「ククク。だが我に転移させられることのメリットもあるぞ。創造神は世界のバランスを気にして大したことのないスキルしか勇者に付与せぬが、我はいわゆるチートをお主らに授けてやることにしている」
(そりゃ、世界のバランスを崩すと言って命を狙われるわな……)
しかし考えようによっては、チートスキルをもらえた方がいいのかもしれない。俺はこの展開をツイてると思うことにする。俺はそのまま、話を進めることにした。
「貴様には、異世界に魔王として君臨してもらうことになる。だが、別に何も強要はしない。貴様の好きに生きるといい」
邪神の話によると、俺は魔王として異世界に送り込まれるらしい。そこで俺は魔王の居城となるダンジョンをつくり、眷属を増やしながら生活をすればいいと。
特に決まりもないようで、別にダンジョンを作らずに世界を旅するも良し、街で生活するも良し。本当にただの邪神の戯れとして、俺は異世界に送り込まれるだけのようだった。まさに、都合のいい話である。
「では、貴様に与えるスキルを決めようか。二回、このマシンで貴様にはスキルを与える。大サービスだ」
邪神がそう言うと、俺の前にスロットマシーンのような機械が現れる。どうやらこれで、俺に与えられるスキルが決まるようだ。
――ガッシーン!
ドゥルルルルルルル!!!
ふざけた音でスロットマシーンの目がまわり、ふざけた音で停止する。何の茶番なんだ。そして俺に、最初のスキルが与えられた。
ジャジャーーーン!!!
「ククク。寝取りスキルか。いいスキルだ」
「いいスキルだ。じゃねーよ!」
俺はあまりにふざけたスキルに思わずツッコミを入れてしまう。なんと、俺が手に入れたスキルは寝取りスキルという意味の分からないスキルであった。
「いわゆる、快楽魔法と精神魔法が同時に使えるスキルだ。素晴らしいではないか」
邪神はやはり邪神であった。邪神の説明によると、俺にはいわゆる邪術のようなスキルが与えられるらしい。しかし俺にはもう一度だけ、スロットマシーンを引くチャンスがある。俺は次のスキルに、運命を掛けることにした。
ジャジャーーーン!!!
「ほう、創造魔法とは、当たりを引いたな」
「やった!!!」
次に俺が引いたのは創造魔法のスキルだった。これは当たりだ。文字通り、俺が作りたいものは何でも作ることが出来るスキルのようだ。こんなスキルを与えられるようでは、創造神も世界に混沌をもたらされると困るはずだ。
でも、せっかくもらったスキルだ。有効活用することにしよう。俺は寝取りスキルと創造魔法を持って、異世界に旅立つことになる。
「おっ!いいことを思いついたぞ!」
そして俺が異世界に転移させられる直前に、邪神が悪事を思いついた最低なビジネスエリートのような笑顔で俺にとある提案をしてくる。
「どうやら異世界で、ひさしぶりに勇者召喚が行われるようだ!丁度いい!貴様をそれにまぎれこませ、創造神をおちょくるとしよう!」
「あの~、俺はどうなるんですか?」
勝手な悪巧みをし始める邪神に、俺は自分の境遇を尋ねてみることにする。すると邪神からは予想通りに、最低な答えが返ってきた。
「なに、貴様は素知らぬ顔をしてただ勇者たちの中にまぎれればいい。我が貴様の見た目を、サービスで勇者たちと同じ年齢くらいに変えてやるから簡単だ。存分にスリルを楽しみたまえ」
そういって俺は邪神に若返らされることになる。どうやら俺は30過ぎの見た目から、17歳くらいの見た目になったようだ。これはラッキーだと思っておこう。
「貴様が我の使徒だとバレると殺されるから、くれぐれも気をつけるように。それでは面白くないからな。まあ、創造神のチャチなスキルしか持っていない勇者に、我がスキルを与えた貴様が遅れを取ることなぞあり得ないがな」
「……はい、はい」
すべてを諦めた俺は邪神の言い分を受け入れ、これからどう立ち回るかに意識を向けることにする。とりあえず、転移させられたら周りの状況を確認しないとな。
「ククク。異世界に行く前に。最後のアドバイスだ。貴様が行く異世界は、前世の貴様がいた世界と違って全員が魔力を持っている。それ故、貴様がいた世界とは違う文化があることに留意しておけ」
邪神から最後に、異世界の文化について注意を受けることになる。前世と違う文化って、具体的には何なんだ?俺は思ったことを、そのまま邪神に聞いてみることにした。
「前世の世界と違う文化って何ですか?」
「それは、向こうについてからのお楽しみだ」
どうやら具体的な違いは教えてもらえないらしい。まあ、異世界とニホンの違いを、肌で直接感じるほうが面白いからな。俺は気にしないことにした。
しかし、魔力と聞くと、俄然として、俺はこれから異世界に行くのだという実感が湧いてくるな。ワクワクしてしまうのが人情である。
「では、行くが良い。ぜひ、勇者の諸君をあざ笑ってきたまえ」
「はい!」
そうして俺は、邪神によって異世界へと転移させられることになるのであった。
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