第15話 告白と答え
どうしよう?
もう一度ニーナさんを見る。
「ぅ゛ぅう……ひぐ……ぐすっ……うぇえ゛ぇ……!」
やっぱり泣いてた。
いや、イメージだよ? イメージだけどさ。
気になってる子からの告白ってもっと爽やかで甘酸っぱいものを想像してたよ。
「正直……ニーナさんのことは嫌いじゃありません」
慎重に言葉を選んでいく。
ここで選択肢を間違えたら何かしら良くないバッドエンド迎えそうだし。
「だけど僕はニーナさんのことを何も知りません」
「っ……は、はい」
ニーナさんの気配が揺らぐ。
生きてるのか死んでるのかも分からないくらい弱々しい。
そんなニーナさんを見ながら言った。
「だから、その……これから知っていければいいなと思います」
「……………………え?」
ニーナさんが思わずと言ったように顔を上げた。
その蒼色の目には驚愕と困惑が浮かんでいた。
「え? それ、って? え? つ、つまり……どういう?」
あー……と、頬を掻く。
さすがに遠回し過ぎたか。
だけど僕だって初めてなんだ。
恋愛経験はない。
恥ずかしいものは恥ずかしい。
「えーと、ですね」
僕はニーナさんのことが嫌いじゃない。
だから付き合うというのも軽薄かもしれない。
でもそれはあんまりじゃないだろうか。
今まで否定され続けてきたニーナさん。
初めて優しくされたんだと言っていた。
もしここで断ったらどうなる?
あまりにも彼女が報われないじゃないか。
(同情、か)
それは否定できない。
正直ニーナさんへの好意に関しても僕は曖昧な感情しか持っていない。
だけど、それでも。
だからこそお互いを知っていきたいなと思う。
ここで切り捨てるよりも、少し考える時間くらいはあってもいいんじゃないだろうか。
少なくともその程度には僕はニーナさんのことを好ましく思っている。
「僕で良ければ……お付き合い出来たらなと……これからお願いします」
ニーナさんの手を握った。
自分の鼓動が相手に聞こえるんじゃないかってくらい心臓の音がうるさい。
ニーナさんの顔はもうどうやったらそんなにってくらい赤く染まっている。
だけど、たぶん今の僕もそこまで違いはないんだろうな。
そう思って余計に恥ずかしくなった。
「…………………………………」
ばたんっ、と。
ニーナさんが倒れた。
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