第7話:リオンの後悔(閲覧注意)

※残酷な描写あり、グロい描写あり


私はクラーク王国現国王のリオン・クラークである。今、私は王宮の秘密通路を通っている。外では反王政派の貴族たちと国民たちが反乱を起こし、王宮は奴等に攻められている

私は現王妃のアリス・クラークとともに国外へ逃亡している最中である


【リオン・クラーク】

「くそ、何でこんなことに!」


私は将来を約束された人間だ!選ばれた存在だ!あいつらとは違うんだ!やり場のない怒りを抱えたまま逃げ続けた

私は当時のクラーク王国国王のジェイド・クラークと同盟国からクラーク王国に嫁いだ王妃との間に生まれた

私は次期国王として約束されたエリートだ。そんなエリートの私に父が婚約者をあてがった。婚約相手はユライザ公爵家の令嬢のマヤ・ユライザである


【マヤ・ユライザ】

「マヤ・ユライザと申します。末永くよろしくお願いいたします。」


いかにもお約束なセリフだ


【リオン・クラーク】

「ふん、父上の命だから貰ってやる。ありがたく思え」


我ながら心無い言葉を吐いたが、特に後悔していなかった。ここが破滅へのシナリオとも知らずに。


そんな私には兄がいる。兄の名はアーノルド・クラーク、父とアマリアとかいう下賤な女との間にできた奴だそうだ。母上はよくアマリアの悪口を言っており、私も便乗して兄とは思わず見下していた


しかし時が経つにつれ、状況が変わっていった。異母兄のアーノルド・クラークと婚約者のマヤ・ユライザは文武ともに優秀な人間だった。それと同時にそれを鼻にかけない好人物でもあった。それに比べ、私は成績と運動神経は並み以下で母上によく叱られた。父はアーノルド・クラークとマヤ・ユライザを褒めており、私に対しては一度も褒めてはくれなかった。そんなある日、私は聞いてしまった


【ジェイド・クラーク】

「ああ、次期国王とマヤの婚約者はリオンじゃなくてアーノルドの方が良かった。」


私の中に邪悪な意思が芽生えた。なんで、なんで次期国王のこの私はあんな下賤な奴といけ好かない女に負けなければいけないのだ!いつの間にかあの二人は目の上のたん瘤となっていた


【リオン・クラーク】

「くそっ!」


私はやり場のない怒りを木に向かってぶつけた


【リオン・クラーク】

「ふう、帰るか。」


私が木にあたり続け、ようやく気が晴れたと思い、帰ろうとした時・・・


【アリス・ローリー】

「きゃっ。」


そこに女が躓いていた


【リオン・クローリー】

「大丈夫か。」


【アリス・ローリー】

「ありがとうございます。」


【リオン・クローリー】

「それはよかっ・・・美しい。」


私はその女の顔を見た瞬間、心がときめいた


【リオン・クローリー】

「君の名は?」


【アリス・ローリー】

「アリス・ローリーと申します。」


私の人生が薔薇色に咲いた瞬間だった。その当時の私はアリスとの時間が楽しくて仕方がなかった

もう、あんな下賤な奴といけ好かない婚約者のことなんかどうでも良かった。今はアリスと一緒にいる時間が楽しい。その後、ある噂が流れた。私の婚約者のマヤ・ユライザが愛しのアリスに嫌がらせをしていると言うのだ。私は早速、アリスの下を駆け付けた


【リオン・クローリー】

「大丈夫か!アリス!」


【アリス・ローリー】

「心配してくれてありがとうございます。私は大丈夫です。」


【リオン・クローリー】

「おのれ、あの女、私の婚約者の分際で図に乗り追って!私の大切な人を傷つけやがって!許さん!」


私はあのくそ女をどう料理してくれようか考えた。元々、父があてがった女だ、こっちから捨ててやる!そう思っていた時にある知らせが届いた


【リオン・クラーク】

「何?アーノルド兄上とマヤ譲が失踪しただと?」


側近によってあの二人は失踪したとか、むしろあの二人がいなくなったことで私は安心したが、アリスは二人が謀反を起こすといったのだ。理由と聞くとアリスは毎夜、夢の中であの二人が結託して謀反を起こしたのだという。最初は半信半疑だったがアリスの必死さに私は信じるようになった。そして二人の捜索が始まった。側近の報告によると二人は国内におらず、国外に逃亡したとのこと。それを聞いたアリスは他国に我が国の機密を漏らし、味方につけ謀反をすると結論をつけた。私もこれはマズイと思い、探索を続けた。そして、ようやく見つけた


【リオン・クラーク】

「見つかったか!」


【側近】

「はっ!アーノルド殿下とマヤ譲は今、サカイにおられます。」


【リオン・クラーク】

「そうか。よし早速、兵を差し向けろ!」


【側近】

「お待ちください!サカイは完全中立地帯です。もしサカイで問題を起こせば、我が国は諸国から非難が免れません!」


くっ!思わず口が滑ってしまった。何とか誤魔化さねば!


【リオン・クラーク】

「ふっ、冗談だ。サカイは中立地帯であることは存じておる。」


【側近】

「笑えない冗談はよしてくださいませ。」


【リオン・クラーク】

「すまん、下がってよいぞ。」


側近を下がらせた後、私は直属の騎士を呼んだ


【王子付きの騎士】

「お呼びでしょうか。殿下。」


【リオン・クラーク】

「そなたに命を下す!騎士隊を率いてサカイにいるアーノルド・クラーク兄上とマヤ・ユライザ公爵令嬢を連れ戻せ。」


【王子付きの騎士】

「御意。」


フフフ、こいつは側近よりも御しやすい。直属の騎士が下がった後、アリスが訪ねてきた


【アリス・ローリー】

「殿下、お二人を連れ戻して、どうするのですか?」


【リオン・クラーク】

「決まっている。国外逃亡と不貞の罪で2人を裁くのよ。」


【アリス・ローリー】

「まあ、何て素晴らしいお考えでしょう。これで謀反を起こせなくなりますね。」


【リオン・クラーク】

「そうだろう、なかなかの名案だろう、あの二人の絶望に満ちた顔が目に浮かぶは!アハハハハ!」


この時の私は得意絶頂に達しており、これで私に立ちはだかる壁はいなくなったと思っていた。何と私の差し向けた騎士たちがサカイで問題を起こしたのだ


【リオン・クラーク】

「何をやっているんだ。あの役立たずどもめ!」


もはやサカイで問題を起こしてしまった以上、他国からの非難は免れない。何とかせねば・・・


【側近】

「リオン殿下!なぜ勝手に兵を差し向けたのですか!」


【リオン・クラーク】

「いや、私はただ、アーノルド兄上とマヤ譲をお迎えに向かわせただけだ。別に他意はない。」


【側近】

「そういう問題ではありません!貴方のしたことは完全にサカイに宣戦布告をしたのです!現時点で諸国からの非難が殺到しているのですよ!」


【リオン・クラーク】

「それは・・・」


【側近】

「おかげで我が国はサカイの国民を拉致しようとした犯罪国家としての烙印が押されました。どうするのですか!」


【リオン・クラーク】

「うっ・・・」


何でこんなことになったんだ。悪いのは騒ぎを起こした役立たずどもだ。私のせいじゃない!しかし事が露見した以上、言い訳など通じなかった


【クラーク王国兵士】

「申し上げます!」


【側近】

「何じゃ!」


【クラーク王国兵士】

「陛下が、陛下が・・・」


【側近】

「陛下がどうされたのだ!」


【クラーク王国兵士】

「陛下が御自害されました!」


【側近】

「何!」


【リオン・クラーク】

「ちっ父上が。」


その知らせを聞いたときに私は奈落の底へ落された気分だった。父の死後、私は急遽、クラーク王国の国王に就任した。それと同時にアリスが王妃に就任した。しかし誰からも祝福されなかった。主だった貴族たちは私を見限り、それぞれの領地へと帰還した。私を支えた側近も私の下を去った。更に信じられないことに母上の実家が国交断絶を告げてきたのである。母上は絶望し服毒自殺をした。私を守ってくれる人が減ってしまった


【リオン・クラーク】

「くっ、父上の次が、母上が死んだ。アリス、お前だけでも私を見捨てないでおくれ!」


【アリス・クラーク】

「もちろんですよ。陛下。」


私にはアリスしかいない。アリスがいればどこまでも戦えると思っていた。しかし不幸はまだ続いた。何と反王政派の貴族たちと国民たちが反乱を起こしたのだ。次々と離反者が続出し、私はアリスとともに秘密通路を通っていた。ここを抜け、ほとぼりが冷めるまでどこへ隠れようと思った。そして出口に出た瞬間・・・


【反王政派の貴族】

「お待ち申しておりました、陛下。捕らえよ!」


すでに反王政派の貴族たちが取り囲んでおり、私とアリスは捕らえられ、城の牢獄へと入れられた


【リオン・クラーク】

「国王である私が牢に入れられるなんて!」


私はやり場のない怒りを抱え、途方に暮れていると・・・


【アリス・クラーク】

「いやあああああああ!」


アリスの悲鳴が聞こえた。一体何があったのだ。その後、静かになり兵士たちのゲスな笑い声が聞こえた


【兵士A】

「いや、王妃様はよかったぜ。」


【兵士B】

「ああ、タダでやれるからな。」


【兵士C】

「あのままいけば、誰かのガキでも孕むんじゃねえか。」


【兵士D】

「おめえのガキかもな。ギャハハハ!」


兵士たちの言動でアリスは女としての尊厳を失った瞬間だった。私の愛しの人が男たちに穢された。私の心はポキリと折れた瞬間だった。その後、時が経ち、執行官が現れた


【執行官】

「出ろ。」


執行官たちに連れ出され、私が向かった先は絞首台だった。このクラーク王国の絞首刑は王族や貴族にとっては最も受けたくない処罰であり、王族と貴族の尊厳を完全に否定されるのである。しかもすぐには死ねず、苦しみながら死ぬのである。しかも衆人環視の下である。野次馬の罵声がところどころに聞こえる


【リオン・クローリー】

「最後に聞きたい、アリスはどうした。」


【執行官】

「あの女は雌奴隷として最下級の娼館に連れていかれた。まあ、生きては出られないかもな。心配するな、死ぬまで可愛がってもらえるから安心しろ。」


執行官の冷酷な言葉でアリスを貶めた


【執行官】

「始めろ。」


執行官の合図で私の首に縄がかけられ、両足はきつく縛られた。野次馬からは「ざまあみろ」「早く始めろ」と罵声が聞こえた


【執行官】

「これより死刑を執行する。」


でもやっぱり死にたくない


【リオン・クラーク】

「いやだ、嫌だ!死にたくない!助けてくれ!」


【執行官】

「執行!」


執行官の合図とともに私は刑罰を受け、数分間というわずかな時間でも長い苦痛を味わい、体液と血液と糞尿を垂れ流し、首が伸びきったまま死んだ

その後の記録ではリオンの死を確認した瞬間、民衆たちに下げ渡され、リオンの遺体は民衆によって石を投げられ袋叩きにされ、両手両足と頭をバラバラにされ、そのまま野犬の餌にされたという











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