第4話:リオンの誤算
【王宮サイド】
【リオン・クラーク】
「見つかったか!」
【側近】
「はっ!アーノルド殿下とマヤ譲は今、サカイにおられます。」
【リオン・クラーク】
「そうか。よし早速、兵を差し向けろ!」
【側近】
「お待ちください!サカイは完全中立地帯です。もしサカイで問題を起こせば、我が国は諸国から非難が免れません!」
【リオン・クラーク】
「ふっ、冗談だ。サカイは中立地帯であることは存じておる。」
【側近】
「笑えない冗談はよしてくださいませ。」
【リオン・クラーク】
「すまん、下がってよいぞ。」
側近を下がらせた後、私は直属の騎士を呼んだ
【王子付きの騎士】
「お呼びでしょうか。殿下。」
【リオン・クラーク】
「そなたに命を下す!騎士隊を率いてサカイにいるアーノルド・クラーク兄上とマヤ・ユライザ公爵令嬢を連れ戻せ。」
【王子付きの騎士】
「御意!」
フフフ、こいつは側近よりも御しやすい。直属の騎士が下がった後、アリスが訪ねてきた
【アリス・ローリー】
「殿下、お二人を連れ戻して、どうするのですか?」
【リオン・クラーク】
「決まっている。国外逃亡と不貞の罪で2人を裁くのよ。」
【アリス・ローリー】
「まあ、何て素晴らしいお考えでしょう。これで謀反を起こせなくなりますね。」
【リオン・クラーク】
「そうだろう、なかなかの名案だろう、あの二人の絶望に満ちた顔が目に浮かぶは!アハハハハ!」
リオンは自分の策に酔いしれていた。まさに得意絶頂を迎えていた
【サカイ】
【アーノルド・クラーク】
「マヤ、今日もお客さんがいっぱい来てるな。」
【マヤ・クラーク】
「ええ、今日も繁盛ね。」
マヤの名字が変わった。それには理由は一つ、私とマヤは結婚したのである
私とマヤはサカイの協会で結婚式を挙げ、今は夫婦でカレーライス専門店【クラークカレー】を営んでいる
私たちの平和が長く続いてくれると信じていましたが・・・・
【ボブ】
「そういえば、クラーク王国の騎士たちがサカイで、うろちょろしてたぞ。」
クラーク王国の騎士、それを聞いたとたん、私とマヤは警戒した
【マヤ・クラーク】
「へえ、何をしにサカイに来たのですかね。」
【ボブ】
「さあな、とりあえず問題を起こしていないようだから、一応、様子見をしているよ。」
私とマヤはボブさんの話を聞きながら、クラーク王国の兵に出くわさないように注意を払った
奴らの狙いはきっと、私たちだ。私とマヤは抱き合いながら、一緒に寝た
しばらくして、私のカレーライス専門店【クラークカレー】に見覚えのある騎士がやってきた。しかも10名が私とマヤを取り囲んだ。我が祖国の鎧姿のまま、しかもここは下町のど真ん中。もちろん衆人環視のもとである
【王子付きの騎士】
「アーノルド殿下、マヤ公爵令嬢、リオン殿下の命である。ただちに来てもらおう。」
【アーノルド・クラーク】
「失礼だが、人違いじゃないのか。こっちは忙しいんだ。用がないなら帰りな。」
【王子付きの騎士】
「おとぼけめさるな。我々は貴方方の御尊顔をよく存じている。来ないのであれば、力づくでもきてもらう。」
おいおい、ここはサカイだぞ。完全中立地帯だぞ。リオンの奴、そこまであの小娘に骨抜きにされたのか
【警備隊】
「どうした。何の騒ぎだ!」
グッドタイミング!警備隊がやってきた。よし・・・
【アーノルド・クラーク】
「マヤ、いいか。」
マヤはうなずき、叫びだした
【マヤ・クラーク】
「きゃあ!どうか御助けを!この方々は私たちをクラーク王国へ拉致しようとしています!」
【王子付きの騎士】
「なっ!」
【警備隊】
「何だと、サカイを敵に回す所業、許すまじ!」
警備隊がクラーク王国の騎士10名を取り囲み、力づくで制圧した
【王子付きの騎士】
「待ってくれ、我々はただ、この御方を連れ戻しに・・・」
【警備隊】
「やかましい。このサカイで問題を起こそうとした貴様らを許すと思うか!サカイも舐められたようだな。お前ら、生きてここから出られると思うなよ!」
クラーク王国の騎士たちは抵抗むなしく、警備隊に連れていかれた
【アーノルド・クラーク】
「名演技だよ。マヤ♪」
【マヤ・クラーク】
「ありがとう。貴方♪」
警備隊に捕らえられたクラーク王国の騎士たちは厳しい拷問の末に、私とマヤを捕縛するようリオンの独断で動いたと白状したが、クラーク王国がサカイに宣戦布告をしたも同然である。これによりクラーク王国はサカイを敵に回したことで諸国から国交を断絶された。私たちはようやく、クラーク王国から解放されたのだ
【王宮サイド】
【側近】
「リオン殿下!なぜ勝手に兵を差し向けたのですか!」
【リオン・クラーク】
「いや、私はただ、アーノルド兄上とマヤ譲をお迎えに向かわせただけだ。別に他意はない。」
【側近】
「そういう問題ではありません!貴方のしたことは完全にサカイに宣戦布告をしたのです!現時点で諸国からの非難が殺到しているのですよ!」
【リオン・クラーク】
「それは・・・」
【側近】
「おかげで我が国はサカイの国民を拉致しようとした犯罪国家としての烙印が押されました。どうするのですか!」
【リオン・クラーク】
「うっ・・・」
側近に叱責されるリオンの姿を物影に隠れながら見ていたアリスは・・・
【アリス・ローリー】
「あぁ、失敗したのね。マジで使えないわね。もうこの国も終わりね。さっさととんずらしますか。」
私はリオンに見切りをつけ、クラーク王国から脱出する手立てを考えていた時だった
【クラーク王国兵士】
「申し上げます!」
【側近】
「何じゃ!」
【クラーク王国兵士】
「陛下が、陛下が・・・」
【側近】
「陛下がどうされたのだ!」
【クラーク王国兵士】
「陛下が御自害されました!」
【側近】
「何!」
【リオン・クラーク】
「ちっ父上が!」
あぁ、神様はちゃんと見ているのね。ちゃんと罰を与えてくれたのだから・・・
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