第94話 巨人のダンジョン深層
「規模を考えると、5層が最深部である可能性は高いな」
リーダーのベリアルが地図を作りながら言いました。
「ダンジョンの横の大きさが倍になっているから、アルドウェンのダンジョンと同じぐらいの魔力を使う規模だと考えると、深さは半分と予想される。
出現する敵の強さの変化も似たような感じだ」
ベリアルが地図をしまいました。
「第4層は、この扉を開ければ探索終了だ。おそらく地下への階段がある」
「行きますか・・・」
扉を開けると、現れたのは、甲冑に身を包んだ巨人でした。ギガント・ジェネラルといったところでしょう。背後にギガント・ハイメイジと、ギガント・ハイプリーストも控えています。
「いつものように前衛で15秒粘れ! カイ殿がチャージ魔法で吹き飛ばす」
ベリアルが指示を飛ばします。
と、同時に目くらましの魔法を、ギガント・ジェネラルにかけて、グレコたちを援護します。
「ダンシング・ナイフよ。『踊れ』 そして、雷撃の杖 +10 チャージ2」
カイは魔法の杖を放つ準備をします。ダンシング・ナイフは念の為、戦闘開始時に起動しておくように、ベリアルから指示を受けていました。
グレコ、ラシャ、ザザ、シャパリュがギガント・ジェネラルを押し留めます。甲冑で刃が通らない上に、振り回す大剣も剣呑です。恐ろしい相手でした。
後衛の魔法兵たちは、ベリアル隊が魔法反射を張っていることに気づき、ジェネラルへの補助魔法に注力しています。
「『バースト!』」
カイの雷撃の杖が、チャージされた雷撃を放ちました。メイジとプリーストは、雷撃に焼かれて一撃で絶命しました。
ジェネラルはまだ立ったままです。甲冑に雷撃を防ぐ付与効果があるのかもしれません。
「幻覚を見るがいいにゃん!」
シャパリュが見せた幻覚は、鎧の下の肌に虫がはいまわり、全身をかゆみに包まれる幻覚でした。
ジェネラルはもがきながら兜を脱ぎ、籠手なども外そうとしています。
「ナイスだ! シャパリュ!」
「防御魔法も消してしまいましょう。『消滅の波動!』」
ザザが『波動の盾』の効果を使うと、ジェネラルの体が霊妙な光に包まれ、補助魔法の効果を無効化します。
グレコは鞭を使ってジェネラルの腕をからめとり、その体に駆け上ります。そして、三段付きで両目と喉を貫きました。
それで終わりでした。ギガント・ジェネラルは倒れました。
「カイの雷撃に耐えるとは・・・すごい甲冑だ。奪い取って戦利品にしたいが、サイズ的に装備できる人間がいないから売ることもできないな。持ち帰ること自体が不可能に近いが」
「宝箱があったよ」
ラシャが言います。
「鑑別にかかってくれ」
ラシャが、罠を鑑別すると「爆弾」でした。
「このダンジョンの罠は、爆弾の爆薬料が多いのよね。対人間じゃなくて、対巨人みたいな」
「まあ、身内から盗っ人が出ることもあるんだろう」
「どうする、解除する?」
「やってくれ。巨人の宝箱は作りが大きいから、細工も大きい。解除は楽なんだろう」
「そうなのよね」
そうして、ラシャが宝箱の罠を解除すると、中身は8万Gでした。
「アルドウェンのダンジョンの最下層と同等額だな」
「終点が近いということか・・・」
そして、第5層に向かう階段が見つかりました。
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