三章 月光の花魁

精霊召喚


デリカートを仲間にしてからおよそ3ヶ月の時が流れていた。


俺たちはあの日から森の奥地に拠点を置き、毎日訓練をしている


時に身の丈数倍はある魔獣を討伐したり、対人戦をしたりし各々レベルを上げていった。そんな訓練の合間にデリカートが面白い事を口走る


「———私たちエルフは精霊と契約し使役することができます」


「何?それは本当か?どうやって契約するんだ?」


俺は興味津々でデリカートに詰め寄った


「そ、それはまず魔法陣を描いて魔力を注ぎ込めます。魔力量に比例して、精霊の階級が別れます。上位の精霊ほど魔力量が必要になり‥‥‥」


(なるほど、魔力量によって使役できる精霊が違うと)


「ねえレオン、あなた変に笑っているわよ?また何か考えているのかしら‥‥」


ファシーノに指摘されてしまった。そんなにニヤけていたとは


「なあデリカート?お前はこの3ヶ月間で強くなった。物凄い成長速度だ。そこで提案だ‥‥さらに強くなりたいか?」


俺はデリカートの手を優しく包み込み語りかける。


するとデリカートの長い耳が赤く染まってしまった


「はいっ‥‥貴方のお役に立てるのなら強くなりたいです」


「よく言ったデリカート!ではこれを飲んでくれ」


俺は右手に魔力を集めて小さな飴玉を創りデリカートに渡す


「これを飲めばいいんですね?」


「大丈夫だ、毒は無い。この飴玉を飲み込んだら精霊召喚を行う」


この会話を聞いていたファシーノが『まさか』と言っていたが何も聞こえないフリをしよう


そしてデリカートは意を決して飴玉を口に運び、飲み込んだ。


「‥‥?これでよろしいですか?」


何か起きると思い込んでいたが何も起きなかったことでデリカートは拍子抜けしている。


「よし準備はできた。始めるぞデリカート」


準備ができたとこでデリカートに指示を出す。


俺に指示を受け地面に魔法陣を描き始めた。


直径にして2m程だろうか、すごく複雑な魔法陣を可愛らしい動作で描いている


「ふぅ‥‥できました!」


額の汗を拭い、勢い良く立ち上がる


「では魔力を、と言いたいが何か詠唱は必要ないのか?」


俺は疑問に思った事を聞いたがデリカート曰く、『魔力を流したら精霊が現れ、言葉で契約を行う』らしい


意外にアバウトなのかもしれない


そんなこんなでデリカートが地面に描いた魔法陣に手をかざし魔力を注ぐと不思議な事が起こった


「あれ?こんなに私の魔力量はなかったはず」


デリカートは不思議に思っていると不意に俺の方を向き、何か確信めいた表情をする


デリカートは地面に手を当てながら魔力を流していると魔法陣が輝きだし目が開けられない程の眩い光が俺たちを包み込んだ


数秒後、光は収束し魔法陣が描いてあった所にはデリカートともう一人女性が佇んでいた


その女性は地面に未だ手をかざしているデリカートに見下ろしながら言う


『———我を召喚したのはお前か?』

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