第22話 ノア兄の相棒
「エイミー、起きて」
そんな声が聞こえて眠りから目が覚めた。
「……お母様?」
「そうよ。そろそろ起きてね、エイミー」
「ふぁ~。はい……」
お母様に起こされて眠たい目を擦りながら起こしてもらう。
寝ぼけている意識を徐々に覚醒していく。すると、お母様が私を抱っこしてさっきと同じソファーに座った。
「ふぁ~。……僕も寝てしまったのですね」
「ニー……」(ぼくもねてた……)
本当だ。ノア兄もルアルもちょっと寝ぼけた顔をしている。
「3人とも可愛らしく仲良く寝ていたわ♪」
「本当にな~」
「ああ、可愛かったぞ」
またまた、寝顔観察されていたのかな?まあ子供の寝顔は可愛いよね。自分で言うけど。
「ルチアーノから連絡があってね、フェンリルの子を連れて来るらしいから起こしたのよ」
「ルチアお姉様! フェンリル!」
寝ぼけていた頭が完全に覚醒する。
やった!やっとフェンリルの子に会える!楽しみだ!
ワクワクとして、目が輝くのが止められない!
「あら、エイミーの目がキラキラだわ♪ そんなに楽しみだったのね!」
「エイミー様! 私は嬉しいですぞ!」
エイミーがフェンリルの子に会う事を楽しみにしている雰囲気にアスワドは感激していた。
「ニー!ニー!」(あるじさまー!ぼくを忘れないでねー!)
ルアルが忘れないでと、お母様が私を抱っこして座って居るソファーにピョンっとジャンプして上がった。
「ルアル、もちろん忘れてないよ! 私だけじゃなくルアルとも仲良しになってくれる子だといいね!」
「ニー♪」(ぼくもおともだちできるのたのしみ♪)
やっぱりルアルは可愛いね!大きくなったら格好良くなるのかな?それもそれで楽しみだね!
ルアルを撫で撫でしながらそう思った。
「そうえば、アスワド。フォールはまだ、修行?」
「ノア様、今しばらくお待ち下さい。もうそろそろ終えそうではありますが……」
「そっか……」
ノア兄はちょっとしょんぼりした。
フォール?フェンリルの一族なのかな?
「フォールって?」
「フォールはフェンリルの一族の子で、ノアの相棒よ」
「ノア兄の?」
「そうだよ、エイミー。僕の相棒だし、友達だよ。なんかエイミーとルアルを見てたら僕もフォールに会いたくなったんだ……」
そっか……。フォールはノア兄の相棒さんなんだ。でもなんで一緒に居ないのだろう?
「フォールはなんでノア兄と一緒に居ないの?」
「フォールは力を制御する為に修行しているんだ。制御出来る様になるまで僕とは会わないって決めて修行に行っちゃったんだ……。だからフォールが決めた事だし、応援したいし、僕だけが会いたいなんて言えないよ……」
「ノア兄……」
寂しそうな顔をしているノア兄。私はお母様の隣に座っているノア兄にぎゅっと抱きついた。
「どうしたの? エイミー」
「ノア兄……、寂しいね……」
「フォールが居なくて寂しいけど、今はエイミーが居るし、ルアルも居るからね! 大丈夫だよ!」
「……本当?」
「本当だよ! だから心配しないでね」
ノア兄はそう言うとぎゅっと抱きしめ返してくれた。すると、急にノア兄が脇腹をくすぐって来た。
「キャハハハハッ! の、ノア兄! くすぐったいよ!」
「アハハハッ! だってエイミーの方が寂しそうな顔になるっているんだもん。エイミーは笑ってる方がいいよ」
それにしても、いきなりはひどい!私は仕返しとばかりにノア兄の脇腹をくすぐった。
「っ! アハハハハッ! エイミー、ハハッ、え、エイミーごめんよっ!」
「ノア兄も笑顔になった!」
仕返しも入っていましたがノア兄も笑顔に戻って良かったです!
「ふふっ、2人とも可愛いわ~」
「我の孫達は可愛いの~」
「妾達の孫じゃ、当たり前だな」
「そうですね、私達の子供達だからね!」
大人達はエイミーとノアの2人のやり取りを微笑ましく見守っていた。
ルアルが寂しくなったのか私とノア兄の間にグリグリって入ってきた。
「ニーー!」(ぼくもいるよー!)
「ノア兄、ルアルもいるって」
「ルアルもありがとう」
「ニー♪」(ぼくとあるじさまがいれば、さびしくな~い♪)
「そうだね! ルアル!」
ノア兄と一緒にルアルをぎゅっと抱きしめる。なんか平和だな~とか思う。
「な、なんて、良い子達なのですか!? 私は! 私は! すごく! 感動致しました!! うぅ」
「アスワド、雰囲気ぶち壊しね……」
なんか、アスワドが感動して泣いているが気にしないでいよ。
「ノア、大丈夫よ。フォールにももう少しで会えるわ。その時はエイミーにも紹介してあげてね?」
「もちろんです、母上! エイミー、フォールはね、とてもカッコいいフェンリルなんだよ! フォールが、戻って来たら1番に紹介するね!」
ノア兄がフォールの話をすると、いきいきと話し始めて、本当にフォールが大好きなんだなって思った。
「うん! 楽しみにしてるね!」
「ニー!」(ぼくもー!)
ニコニコとアスワド以外みんな笑っていた。
「おや? 来たな」
「アスワド、泣きやめ。 長のそんな姿見たく無いだろよ」
「グスッ。はい、もう大丈夫です」
わあー、おじい様に言われてアスワドすぐに泣き止んだ……。すごい切り替え早っ!
「エイミー、ルチアーノとフェンリルの子が来たわよ。楽しみね♪」
お母様がそう言うと扉をノックする音が聞こえた。エイミーは目を輝かせずにはいられなかった。
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