第22話 親友との酒を飲み


 そんな生活を5日くらい過ごしていた時だろうか…突然、チャイムがなり重い体扉を開けるとーーー


 「赤谷?」


 「よ」


 赤谷は片手に上げ、ズカズカと…部屋に入っていたった。


 「それにしても、酷い顔だな…部屋も汚いし」


 「体が怠くて、力が入らないんだよ」


 顔と部屋を見渡し…そんな事を言ってくる赤谷に吐き捨てるように返すと、赤谷はポリ袋を取り出した。


 「俺が片付けとくから、シャワーでも入って、身嗜みを整えてこい。そしたら出かけるぞ」


 「そんな気分じゃないんだが…」


 俺は手でせかしてくる…赤谷にうんざりしつつも、シャワーに入り、頭と体を洗い、髭を剃った。


 シャワーから出ると、綺麗になった部屋で赤谷がテレビを見ながら寛いでいた。


 「お…少しはマシになったじゃないか。じゃあもう少ししたら行くか」


 「何処にだよ」


 そう言うと…赤谷はニヤリと笑みを浮かべた。


 「居酒屋だよ」


 髪をドライヤーで乾かし、赤谷が選んだ服を着て…赤谷の車に乗り込んだ。


 「お前は飲まないのか?」


 「勿論飲むに決まってんだろ? 帰りの運転は代行してもらうんだよ」


 「そうか」


 その後、特に会話もないまま暫く経ち…車が止まった。


 店に入ると、中は1つ1つが個室みたいに分かれており、周りを気にせずに飲める場所みたいだ。


 店の雰囲気はいいな、ゆっくり出来そう。


 店員に案内され、飲み放題のコースを選び…赤谷がメニューを見終わり、受け取り、店員を呼んだ。


 「カシスソーダで」


 「生ビールと唐揚げ 枝豆に餃子を1つずつ」


 「かしこまりました」


 飯か…最近、まともに食べてなかったから、俺も何か頼むか?


 「ツマミ的な物は分けて食べるか」


 「じゃあ、今は食べ物は頼まなくていいか」


 とりあえず、どんな物があるのか分からないし…メニューを見てみるか。


 飲み放題のメニューとは別に、置かれていたメニュー表を取り…見ていると、店員が飲み物を持ってくるのが見えた。


 「お待たせしました。生ビールのお客様は…」


 「あ、俺です」


 「前、失礼します」


 そう言って、店員は赤谷の眼の前に、生ビールを置き、俺の前にもカシスソーダが置かれた酒を一気に飲んだ。


 度数は強くない為、喉が熱くなる事はなく…ジュース感覚で7割を飲み、残りを飲み干した。


 「ペース早くないか?」


 「そうか? 久しぶりだし…お前とサシで飲んでいるというのも大きいのかもしれないな」


 「お、おう。そうか…そりゃあよかった」


 「? 次の酒を頼むか。お前はどうする?」


 少し、赤谷の顔が引きつったように見えたのは、気のせいだろう。


 赤谷の方にメニューをずらすと、赤谷も残りの生ビールを飲み干し、店員を呼んだ。


 「梅酒のロックと、モッツァレラチーズの天ぷら1つ」


 「俺はウーロンハイで」


 「かしこまりました」


 チーズの天ぷら好きなんだよなぁ…シメにラーメンもいいかもなぁ。


 「お待たせしました。先に梅酒のロック割とウーロンハイ失礼します。前に、若鶏の唐揚げに枝豆 焼き餃子お待たせしました」


 早速、梅酒を口に入れる。


 今回のは、度数は少しあり…喉が熱くなったのを感じた。


 ツマミも適当に食べつつ…無くなった梅酒の代わりに、柚子の焼酎を頼み、飲み干した。


 今日だけは、酒に飲まれよう。


 初音の事を忘れるように、俺は酒を浴びるように飲み続けた。

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