【休載中】僕は無属性魔法でこの世界を生きていく

桐たんす

転生

1話 転生


 キンコンカンコンとチャイムが鳴り、今日の授業が終わりを告げる。


 生徒たちは部活に行くかどうかや、課題を一緒にこの後やろうなどといっているが、俺は窓の外をぼうっと眺めていた。


「おい慎二、一緒に帰ろうぜ。」


 家が近くて昔から一緒の優がいつも通りに声をかけてきた。こいつは運動ができて、顔もいいのに、俺が部活に入らないといったら、自分も入らないと言うような変わったやつだ。


「おう、もちろん。どうせ今日もコンビニに寄るんだろ?」


「分かってるなぁ、慎二は。今日は新刊の発売日なんだ。」


 そういって優はにっと笑った。


 そうして、帰っていると信号機に差し掛かった。


「優、赤信号だぞ。止まれよ。」


 と、声をかけると


「分かってるって。俺だって3年前とはもう違うんだ。」


 と、気さくに答えた。

 優は中学3年の時に信号が赤なのに無視して渡っていたところ、車に轢かれた過去があるのだ。その時は幸い腕の骨が折れただけだったが、もしかしたらと考えるといつも声をかけるようにしているのだ。


 そして信号が青になった。そうして、渡っていると向こうから明らかに速度の速い車が突っ込んできた。


「危ないっっ!」


 そう言って、俺は優を突き飛ばした。

 その瞬間俺はこんなところで死んでしまうのか。もう少し生きていたかったなぁ。せめて、優にはもっと生きてほしいと思った。そして僕は意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めると目の前には美しい女性の姿があった。

 僕は死んでなかったのかと思って喜んでいたが、ふとここはどこなんだろうと思った。

 辺りを見渡そうとしても首が動かない。どういうことなんだろうと思い、手足を動かそうとしてもまったく動かない。声を出そうとしても「あうー」となってしまった。

 僕は衝撃を受けていた。転生という言葉を知ってはいたが、まさか自分がするとは思ったこともなかったからだ。

 そうしていると母親らしき人が服を脱ぎ始めて言った。


「ほら、起きなさいルート。朝ご飯の時間よ。」


 そう言って、母親らしき人はライトと唱え、明かりをつけて乳を飲ませてくれた。


「なんかあったら、呼んでねルート。」


 そう言って、母親らしき人は部屋の外へ行ってしまった。

 僕は今のことで完全に赤ん坊に転生したことを悟った。

 しかし、俺はそれよりも魔法があることを知った。なんてったって、魔法だよ。魔法。魔法が使えるんだよ。使えるなら使ってみたいと思うでしょ。

 今の自分は言葉をまともに話せないが、母親を真似して「あいお」と言ってみた。

 とりあえずやるだけやってみたが、何も起きなかった。

 することがなくて目を閉じてどうやったら魔法が使えるのかと考えていると、何かが体の中を巡っているのに気づく。


(もしかして、これが魔力か。)


 彼は優に勧められて異世界転載のライトノベルを読んだことがあったため、普通の人なら見逃してしまうような魔力に気づくことができた。


(こうしちゃいられない。)


 こうして、魔法の研究が始まったのだった。

 

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