第18話…二度目の転機②

「前置きが長くなったが、ここからは単刀直入に言おう。君に世界樹救済の旅に出て欲しい」


「へっ!?わ、わたしがっっ!?」


 いや、ちょっと待て待て。私はちょっと内緒で魔法が色々使えるだけのなんの変哲もない人畜無害な転生者だよ?どっからそういう話になんのよ!?


「いや、いくらなんでも無理ですって。私に聖女様みたいな力はありませんよ!?」


「それは違うな。聖女では無いが、聖女みたいな・・・・力はあるんだろう?」


 ぎくっ。


「え、な、なんのことやら~?」


 王宮のメイドさん達に、前任の宰相様よかずっと優秀だけど、身分が下の所為でずっと副に甘んじていると、聞いたことがある。こ、これはもしかして誤魔化せない~?


「君を出身の村から呼ぶに当たって調査はしている。勿論こちらに来てからも暫くは監視させてもらった。迂闊な人間を例え農婦といえど王宮に上がらせる訳にはいかないからな。君は水魔法が使えると自称しているが、本当はそれだけではない筈だ。聖女と同じ聖と光が使える。そうだろう?」


 ば、バレテーラ……。優秀とは聞いたけど、これは優秀過ぎやしませんか……前任の宰相様が地位を脅かされないかといつも憎々しげに見てたって聞いてたけど。


「正直、私もこの予測に驚いている。三属性の魔法を使える者など魔導士でも聞いたことが無い。君が秘密にしているのは賢明な事だとは思う」


「参考にまでお聞きしたいのですが、何故私が聖と光を使えると?」


「君は隠していた様だが迂闊だぞ。時折農園で枯れかけた植物に回復魔法をかけていただろう。それと、夜に君の部屋から明かりが漏れている事があると報告もあったぞ。君に光の魔石を配布していないにも関わらずな」


「あー。それは確かに迂闊でした」


 しまった。前世で枯れた植物見まくってたから、農園を歩いていて枯れかけたの見ると、ついついこっそりと回復させちゃってた。まさか見られてるとは思わなかったし。


 夜も、トイレ行きたくなったとき、自前で明かり灯せるもんだから、普通は魔石ライトを使うの忘れてたよ。でもこれはライト使ってると思うのが当たり前だから私のせいじゃない…筈だうん。


 でもまあ、ここは村とは違うんだって、ちゃんと意識してたつもりだったんだけどなあ。迂闊と言われても反論出来ないや。……まさか、それ以外は魔法を使ってるのバレてないよ……ね?


「植物を魔法で回復していた、と報告を聞いて、それならば世界樹にも有効では?と思った次第だ」


「いやいやいや、私そこら辺の野菜や果樹くらいなら確かに回復出来ますけど、相手世界樹ですよね?バカでっかい樹ですよね?いくらなんでも無理ですよ」


 歩いていったら半年はかかる距離にあるのに、塔に上ったらうっすらとでも見えるくらいのでかい樹なんて回復出来る気がしない。


「私、これっぽっちも自慢になりませんが、魔力はそんなに無いですし、初級しか使えません」


 それに、だ。何より声を大にして……は言えないけど、言いたい!!


 そんな遠くまで行くの面倒臭い!!

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