第5話 俺の婚約者
あの日から、俺はリュークに事あるごとに犯され続けている。
俺が嫌だと言っても、魔法でリュークを吹き飛ばそうとしても、逆効果にしかならなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんな生活をしていると、隣国の国王から、手紙が届いた。
内容は、我が国【アルベルト】との同盟を組むことと、娘の結婚相手になってほしいとのことだった。
隣国の【ルンドブリル】とは、先代の王のときも協力関係にあったことを使用人たちに聞いていたので、この同盟の誘いを了承しておいた方がこの国のためにもなるし、何より隣国同士の戦争などの争いが起こらなくなる。
同盟の件は了承するとして、問題は娘の結婚相手になってほしいとの申し出だ。
今まで、リュークのことしか考えてこなかったから、自分の結婚なんて想像つかないし考えられないな…
それに…もしリュークが何か隣国の姫にしたら、俺とリュークの首が飛ぶ…!
だが、俺はなんの話もしないで断るなんてことはできず、一度その姫と国王を食事に招待することにした。
1週間後、隣国の国王と姫が城にやって来た。
「ようこそいらっしゃいました。ガルド王に王女様。」
ガルド王は白いひげがよく似合う、異世界ものでよく見る王様そっくりだった。
ガルド王の後ろからひょっこりと一人の女の子が顔を出す。
「どうも、クレオ王よ。こちらが娘のクラリスだ。」
女の子はガルド王が名前を言うと、スカートを軽く持ち上げお辞儀をした。
「はじめまして、クレオ国王陛下。私はルンドブリル国第三王女のクラリス・ルンドブリルと申しますわ。」
とても礼儀正しくて、動くたびに綺麗な金髪の髪が揺れて、水色の瞳が輝く。とても可愛らしい美少女だ。
「こちらこそ。はじめまして、アルベルト国第17代国王クレオ・ルーカスと申します。」
重い冠を取り、胸に手を当てお辞儀する。
コロコロと笑うその笑顔に、俺は一瞬にして恋をしてしまった。
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クラリスはとても好奇心旺盛で、おしとやかなのにどこか男らしく、接しやすかった。
「ねぇクレオ王!」
「なんだ?クラリス」
振り返ると、頭にそっと何かが乗せられた。
庭に咲く花でつくられた花冠だ。
「どうかしら?あんまり綺麗にできなかったけど、えへへっ 」
照れくさそうに笑うクラリスを見て、俺はいつもかぶっている冠を捨てて、この花冠を永遠にかぶっていたいと思ってしまった。
俺はクラリスの頭をそっと撫でた。
「ありがとう、とても綺麗だ。」
そして、俺はクラリスの唇に深くキスをした。
クラリスは頬をポォッとバラ色に染めてうつむいてしまった。
どうやらキスをしたのは成功なようだ。
俺はクラリスにどんどん惹かれていった。
夕刻になると、国へ帰ってしまうクラリス。
ずっとここにいればいいのに、そうすればもう離れなくて済むのに。
俺は、明日クラリスが来たときに結婚を持ち出してみることにした。
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