私の居場所 218

 最初に階段室に到達したネット民たちは、階段を上っていきます。が、そのうちの何人かはふと立ち止まり、振り返りました。すると大半のネット民は、逆に階段を下りてるのです。

「おいおい、なんでみんな、下に行くんだ?」

「オレたちも下に行った方がいいんじゃないか?」

「ああ」

 そのグループも降りることにしました。


 最下階の地下2階にネット民が下りて来ました。その内の1人がため息をつきました。

「ふーっ・・・」

 先ほどのグループの1人がその男に質問します。

「あ~ なんでみんな、地下に?」

 質問された男はビルを揺らしたり蹴飛ばしたりする明石悠の巨人や女神隊員を思い出し、

「あいつら、ビルを揺らしたり、蹴飛ばしたりと、やりたい放題なんだよ!」

 別の男が回答を続けます。

「それでビルの中の天井が落ちたり、ガラス窓が壊れたりして、何人か下敷きになったんだよ!」

 さらに別の男も応答します。

「オレが逃げ込んだビルじゃ、激しい振動でシャンデリアが落ちて、何人か下敷きになったんだぞ!」

 質問した男。

「へ~ だからみんな地下に?」

 最初に回答した男。

「ああ、ここならその心配はないだろ!」

 別の男は女神隊員が指先から発射する光弾を思い浮かべ、

「ふふ、あいつの指先から出るへなちょこな光弾じゃ、地下2階まで破壊することは絶対不可能だろって!」

 が、女神隊員の光線技は、指先から出るものだけではありません。

 女神隊員は両腕をL字に曲げ、両ひじを脇に付けました。その両手にそれぞれ違う色の光のエネルギーが集まっていきます。そしてエネルギーを溜めた両手を真っ直ぐ頭上に伸ばしました。隊長はそれを見て、つぶやきます。

女神隊員あいつ、ここであの大技をやる気か?・・・」

 女神隊員は両手をものすごい勢いで振り下ろし、その動作を止めたところで両てのひらを合わせました。するとまばゆいビームが発生。ビームはネット民たちが逃げ込んだビルのエントランスを直撃しました。

 女神隊員の身長は約50m。エントランスは当然1階にあるので、かなりの角度でエントランスに命中したことになります。

 破壊的なエネルギーはスラブを貫通し、地下1階のスラブも貫通。そして・・・ 地下2階に潜むネット民たちは、まばゆい光に包まれました。

「うぎゃーっ!」

 ドバーン! 大爆発。炸裂したエネルギーは巨大な炎になり、上の階へと昇っていきます。極限の温度の炎でビル内の空気は膨れ上がり、上階の窓ガラスをつぎつぎと突き破っていきます。ビルから吹き出した炎が、路上に佇む女神隊員を照らします。

 唖然とする上空の日向隊員。

「す、すご・・・」

 ストーク号コックピットの橋本隊員がぽつり。

「あ~あ、あれじゃ、中に逃げ込んだやつ、全滅だな?・・・」

 隊長は言葉がありません。と、倉見隊員が計器類を見て叫びます。

「隊長、高度数千メートル上空に控えていた6機のF2のうち、3機が急降下してきました!」

 橋本隊員が隊長に質問。

「どうします? またソフトキル砲を使いますか?」

 隊長は考えます。

「これ以上女神隊員を庇護することはむりか? いや、海老名隊員えびちゃんの予言によれば、また宇宙人が攻めて来るはず。海老名隊員えびちゃんの予言は信じないと!

 明石悠は死んじまったが、女神隊員は生きてる! 彼女には来たる防衛戦争に参加してもらわないと! 最後の最後まで女神やつを庇護するぞ!」

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