私の居場所 212

 ヘリコプター機内。女性リポーターがマイクを握ってます。

「今問題の巨人が見えてきました! あの巨人に近づくとヘリコプターに異常が発生するので、この距離からレポートしようと思います!」

 彼女の背後の座席には、カメラを構えたカメラマンがいます。そのカメラがはるかかなたを飛ぶ巨人を捉えてます。


 ストーク号コックピット。橋本隊員。

「ソフトキル砲発射!」

 ストーク号の腹の砲塔から光線が放たれました。ヘリコプターはその光線を全身に浴びます。するとヘリコプターに大きな異常振動が。リポーターとカメラマンは思わず悲鳴をあげます。

「きゃーっ!」

「うわーっ!」

 パイロットは勝手気ままに作動する計器類を見て、

「き、機体をコントロールできない!?・・・」

 それを聞いてリポーターとカメラマンが唖然。

「ええーっ!?・・・」

 自衛隊やマスコミは、巨人の身体から耐えず強烈な電磁波が漏れていて、それによって戦闘機やヘリコプターが正常な飛行ができないと判断してました。

 が、実は認識ステルス機能で姿を隠したストーク号がその都度ソフトキル砲を発射していたのです。

 ヘリコプターは大きく螺旋を描いて墜落していきます。リポーターとカメラマンは悲鳴をあげっぱなしになりました。

「うぎゃーっ!」

「死にたくねぇよーっ!」

 パイロットは必死に操縦桿を握ります。

「くそーっ! なんとか・・・」

 ヘリコプターは畑にハードランニング。パイロットは安堵顔を見せました。

「ふーっ、助かったあ・・・」

 カメラマンがヘリコプターから降り、リポーターに声をかけました。

「大丈夫か?」

「ええ、なんとか・・・」

 カメラマンは座席にカメラを置き、リポーターに手を伸ばしました。

「ほら」

「ありがと」

 リポーターはヘリコプターから降りました。そしてぽつりと、

「もう、だからやめようと言ったのに・・・」


 ストーク号コックピット。倉見隊員は隊長を見て、

「あのヘリ、無事に着陸したようです」

「ふ、これで4機目。もう来ないでくれよ、マスコミのヘリ」


 警察署前の人だかりから大きな歓声があがりました。啓一を乗せたパトカーが警察署に着いたのです。

 なお、そのパトカーの背後にもう1台警察用のマイクロバスがあり、そこにはモヒカンの男とリーゼントの男が乗せられてました。

「うぉーっ!」

 とたんに2台のパトカーがネット民やマスコミのカメラクルーに囲まれました。今度はカメラクルーの方が先んじました。さすがプロです。ネット民は悔しがり、罵声を浴びせます。

「オラ、どけよっ!」

「マスゴミはどっかに行けよーっ!」

 パトカー車内、後部座席で両側を警官に挟まれた啓一は、窓の外でカメラを構え突進してきたカメラマンやネット民を見て、かなり満足気まんぞくげ。思わずおどけたポーズを見せました。

「えへ! オレ、大人気じゃんか!?」

 が、カメラマンたちやネット民たちは一斉に空を見上げ、驚きました。

「なんだよ、あれ!?・・・」

 そしてそのまま一目散に逃げ出しました。

「うわーっ!」

「逃げろーっ!」

 それを見て啓一は頭に?を浮かべました。

「え?」

 次の瞬間、ドシーン! 大音響とともにとてつもない縦揺れが発生。啓一も、両側の警官も、運転してる警官も悲鳴をあげました。

「うぎゃーっ!」

「なんだ、なんだーっ!? 地震かーっ!?」

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