私の居場所 152
見附さんは千石さんの意見を聞いて思わず笑みがこぼれました。
「あは・・・」
日向隊員はそれを見て苦笑しました。
「あんな甘ったるい歌詞、私たちにも向かないって・・・」
高浜さん。
「そういや、ヴォーカルの女の子が帰ってこないなあ」
見附さんが質問。
「どこ行ったんですか?」
「いやあねぇ、真夜中のノックが正式に再結成して実は今日が3日目なんだ。衣装とかぜんぜん考えてなくってねぇ・・・ 今番組のスタッフと一緒に衣装を決めてるところなんだ。
彼女、どんな衣装に着替えて来るんだか?」
見附さんはふと腕時計を見て、
「さーて、そろそろ時間のようですね。自分も楽屋に戻らないと。
再結成した真夜中のノックがどんな音楽を奏でてくれるのか?」
見附さんは真土灯里を見て、
「特に真土さん、君のギターが楽しみだな」
真土灯里はまたもや赤面。
「あは」
「じゃ!」
と言って、見附さんはドアを開け、退室して行きました。
テレビ局の廊下。ドアが開き、見附さんが出てきました。と、見附さんは眼の前にあるものを見て、びっくりしました。
「え? ええ~!?」
ミュージックレッツゴー!番組開始が間近となりました。例の掲示板ではすでに罵詈雑言だらけとなってました。
「おいおい、盗作した曲と元の曲を一緒に放送するって、何考えてるんだよ。扶桑テレビは?」
「真土灯里てあの盗作で荒稼ぎしてた真土勝之の娘だろ!? そんなやつ、絶対テレビに出しちゃいけないだろ!」
「日本は表現の自由が保障された国だ。オレたちが真土灯里を自殺に追い込んだって、なーんの問題もないだろ、がはははーっ!」
「中坊にレイプされまくった黒ブタもいるんだろ? よくテレビに出る気になったなあ?」
「あは、そいつ、セックスが好きで好きでたまんねえんだよ。新しい男をみつける気でテレビに出るんだろ? そんなの、ちょっと考えればすぐにわかるだろって!」
さらに、
「金目ひなたもいるんだろ?」
「ああ、今は日向愛て名前を使ってるけど、どっからどう見ても金目ひなただろ、あいつ、バレバレだぜ!」
こいつら、日向愛と金目ひなたは別人だと証明した胡桃なるの映像を見ていないのでしょうか? いいえ、見てました。見てたけど彼らの脳内では、なかったことにしてるのです。
日向愛と金目ひなたが同一人物であった方がおもしろいから、胡桃なるの映像はなかったことになってるのです。かなり都合のいい連中です。
ま、実際のところ、日向愛と金目ひなたは同一人物なのですが。
掲示板の中にはこんな人物もいました。どこかのオフィス。20代の男性社員が書類を読んでるふりをしてパソコンのモニターを見てます。モニターの右下1/4はワンセグテレビ。テレビの中はミュージックレッツゴー!でした。
社員はニヤッと笑って、
「ふふ、始まる始まる・・・」
この社員を見てる2人の女性社員がひそひそ話。
「あの人、またテレビ見てる・・・」
「まったく・・・ 社長の息子だからって・・・ ここの社長、息子に甘すぎよ!」
日向隊員たちが生徒会長と呼んでた少女もこの掲示板にいました。生徒会長も自室でテレビを見ながらパソコンのキーボードを叩いてました。
「ふふ・・・ 今日こそはぶっ潰してやるわよ、日向愛!」
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