私の居場所 144

 ハンドルを握ってる隊長は、日向隊員の受け応えに応えます。

「ふ、そっか、お前たち、まだ未成年者だもんな。テレビ局も配慮してくれたのか?

 ふふ、しかし、こんなにも早くテレビに出られるなんて、すごいじゃないか!」

 隊長は真夜中のノックメンバーとしてテレビに出る=プロのミュージシャンになることに反対するんじゃないかと、日向隊員は若干の恐れを感じてました。けど、日向隊員のテレビ出演には肯定的でした。

 ま、隊長は日向隊員に何度も何度もプロのミュージシャンになってもいいと言ってたからその点問題はなかったのですが、実際その話を聞いたら気が変わる可能性があります。が、それはないようです。日向隊員は安心しました。

 ここで明石悠が質問。

「あの~ さっき千石さんが3度とか5度とか言ってましたけど、あれ、どういう意味なんですか?」

 日向隊員はニコッとして、

「あは、音階スケールのことね。例えばCの音、ドレミで言えばドの音ね。この音の3度高い音はE、ドレミで言えばミの音になる」

 明石悠は指を折り、数えます。

「え~と・・・ あれ? ドより3つ高い音はファになるんじゃ?」

「ベースとなる音、専門用語でルート音というんだけど、これも数えなくっちゃいけないんだ。Cの1度高い音はC。2度高い音はD」

「へ~・・・」

「ほんとうは長3度と短3度も同時に教えなくっちゃいけないんだけど、それだとその前に短調と長調も教えないといけなくなるから、またあとでね」

 それを聞いて真土灯里は思いました。

「あは、日向さん、ちゃんと音楽習ってるなあ。私はギターに関することはいろいろと習ったけど、それ以上のことは習ってない・・・ 幼いときからピアノを習ってた人にはかまわないな・・・」

 と、タブレットを手にした明石悠がはっとしました。

「あ、さっきの映像、もうあがってる・・・」

 日向隊員も手元にあったタブレットを手にしました。

「ほんとだ!」

 映像の中は演奏する真夜中のノック。僕が僕であるためにと15の夜です。真土灯里もそれを見ました。

「あは、もう視聴回数が5万超えてる」

 ちなみに、コメント欄ですが、昨日は人が書いたとは思えない辛辣な文言だらけでしたが、今回もそんな文言が散見されましたが、大多数は真夜中のノックを応援する書き込みでした。それを見て日向隊員は「ふっ」と笑いました。

 と、日向隊員の脳裏に疑問が浮かんだようです。

「あれ、岬クルージングはあげなかったのかな?」

 真土灯里が応えます。

「明日のお楽しみじゃないかな?」

「テレビ?」

「うん!」

「あは」

 日向隊員と真土灯里は笑いました。


 このあとセダンはいつものように真土灯里を真土邸の前で降ろし、明石悠を彼女の家があるマンションの前で降ろしました。

 そのあとのセダン車内。助手席に移動した日向隊員が、ハンドルを握ってる隊長に、

「今日は空を飛ばなくっていいんですか、このあと?」

 隊長は苦笑いして、

「あは、今夜は明日のテレビ出演に備えて早く寝ろよ!」

「はい!」


 セダンがテレストリアルガード基地のゲートに到着。いつものようにパパラッチのフラッシュを浴び、ゲートを通り抜けると、巨大な車庫へ。車庫を出ると2人は、いつものように3階建てのビルの中に入っていきました。

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