私の居場所 97

 高浜さんはこちらを見てる日向隊員と明石悠を見て、

「ほら、君の仲間が呼んでるよ バンドはチームワークが大切だ。今はオレより彼女たちの方を大切にしないといけないんじゃないか?」

「あははは、そうですね!」

 と応えると、真土灯里は振り返り、

「じゃ!」

 真土灯里は駆け出し、日向隊員と明石悠のところへ。

「あ、ごめん!」

 そんな真土灯里に日向隊員が質問。

「あの人、高浜さんだよね、真夜中のノックのヴォーカルの人?」

「うん」

 日向隊員はさらに、

「あの人、あなたのお父さんとケンカしたって話を聞いたことあるけど?」

 と質問しようとしましたが、やめておきました。彼女のプライベートにそんなに立ち入ってはいけないと判断したのです。

 バタン! 隊長はワンボックス車のテールゲートを閉め、3人を見て、

「おい、みんな、行くぞ!」

 3人は応えます。

「はい!」

 3人+隊長はワンボックス車に乗り込むと、ワンボックス車は走り出しました。


 ワンボックス車の後部座席。並んで座ってる日向隊員と真土灯里。真土灯里は上機嫌な顔。日向隊員はそれを横目で見て、思いました。

「真土さん、すごい笑顔」

 日向隊員は高浜さんを思い出し、

「そんなにあの人に逢ったことがうれしいのかなあ?・・・」

 ま、真土灯里は昨日と一昨日のストリートライヴのあとの帰り道でも上機嫌でした。上機嫌なのは高浜さんとあったこともありますが、それ以上にこの3日間のストリートライヴの成功を喜んでいたのです。

 ワンボックス車はその後真土邸の前で真土灯里と彼女の楽器を降ろし、明石悠のマンションの前で明石悠を降ろし、帰途につきました。


 夕方から夜に移る時間、テレストリアルガード基地に1台のセダンが帰ってきました。運転席には隊長、助手席には日向隊員が座ってます。

 ん? 2人はワンボックス車に乗ってたはず? 実は途中でクルマを乗り換えたのです。これは日向隊員はテレストリアルガードとは関係ないことを証明するための工作の1つです。隊長はこれくらい気を使ってるんです。


 サブオペレーションルーム。引き分けの自動ドアが開き、隊長と日向隊員が入ってきました。

「ただいまーっ!」

 部屋の中では寒川隊員がテーブルに座ってノートパソコンでインターネットをやってました。寒川隊員は2人を見て、

「お帰りなさい!」

 寒川隊員は今度は日向隊員だけを見て、

「日向、今日も大成功だったみたいだな?」

 日向隊員は顔を赤らめ、

「ええ、まあ」

 と応えました。寒川隊員はノートパソコンのディスプレイを見て、

「疲れてんとこ悪いが、ちょっとこれ見てくれないか?」

「え?」

 日向隊員は寒川隊員に向かいます。

「なんですか?」

 日向隊員はディスプレイを見ました。で、びっくり仰天。

「えーっ!?」

 隊長はその大声にはっとしました。

「ん?」

 日向隊員が見てるディスプレイ、金目ひなたと日向隊員の顔が並んで映し出されてます。2つの顔にはいろんなところに半透明なスケールが載せられ、比較されてました。

 隊長もこのディスプレイをのぞき込みました。

「はあ、もう日向の正体がバレたか・・・ ま、下の名前を苗字にした時点でヤバイと思ってたんだが・・・」

 日向隊員はただ唖然としてるだけ。

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