私の居場所 79
映像の中、1人の男性がエレキギターを構えてます。
「じゃ今から、自分がいつもステージでやってるギターのテクニックをすべてここでお見せします!」
明石悠はそれを見て、思ったことをストレートに言葉にしました。
「この人、あなたのお父さん?」
真土灯里は肯定しました。
「うん!」
ディスプレイの中、真土勝之は約15秒間隔でいろんなギターテクニックを披露していきます。真土灯里。
「父は自分のテクニックをみんなに教えるんだと言ってこの映像を残したんだけど、私には大事な教科書になったんだ」
明石悠は、
「うわ、すごい・・・ 真土さん、これ、全部覚えたの?」
真土灯里は半分苦笑して応えます。
「もちろん!・・・ と言いたいんだけどね、まだできないものもが1つあるんだよ・・・」
明石悠。
「へ~ 真土さんのお父さんてすごかったんだね!」
「うん、父が偉大だと大変だよ・・・」
その会話の最中、日向隊員はディスプレイの中のサムズアップとサムズダウンの数を見ました。
真土勝之はありもしない盗作問題でネット民から徹底的に叩かれてました。そのせいかサムズダウンはとんでもない数になってました。が、サムズアップの数はその10倍はありました。
ちゃんと評価してくれる人はちゃんと評価してくれてる・・・ 日向隊員は感心しました。
映像が終わりました。日向隊員は、
「もう1度見せてよ!」
と懇願。
「いいよ! じっくり見て!」
真土灯里はマウスを操作。映像が再び始まりました。日向隊員は食い入るように凝視します。
映像の中、真土勝之はギターテクニックを次々と披露していきます。ハンマリング、ブリング、トリル、スライド、チョークアップ、チョークダウン、ビブラート、グリッサンド、ピックスクラッチ、ブリッジミュート・・・
日向隊員はこのへんまではすでに会得している、またはすぐにできそうなテクニック。けど、途中から難易度が高くなります。
カッティング、ナチュラルハーモニクス、ピッキングハーモニクス、スウィープピッキング、サムピングスラップ、プリングスラップ、ダブルチョーキング、ユニゾンチョーキング・・・
そして最後にタッピング。それまで真土勝之は15秒間隔でテクニックを披露してましたが、これだけは30秒以上もやってました。
映像が終わると、真土灯里は日向隊員と明石悠に自分の右手の人差し指と中指を見せ、
「ふつーのギタリストは中指か人差し指のどちらかでタッピングするんだけど、父は両方とも使ってたんだ。その分父のタッピングは他の人より奥行きがあったんだ」
日向隊員はただひたすら感心。
「へ~」
真土灯里は言葉を続けます。
「実はね、私、まだワンフィンガーだけでしかタッピングができないんだ。父みたいにツーフィンガーでできればいいんだけど、音がブレてなかなかうまくできないんだ・・・」
明石悠。
「じゃ、さっき言ってた、まだできてないテクニックて?・・・」
「うん、ツーフィンガータッピング。これが弾けないと父の域に達しないんだ、全然・・・ ほんとすごいよ、父は・・・」
真土灯里は日向隊員を見て、
「じゃ、始めよっか!
日向隊員は真土勝之のギターテクニックの映像を見てちょっとぼーっとしてましたが、すぐに我に返って、
「うん!」
と返事。
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