私の居場所 12

 日向隊員は自分の首元に巻かれたチョーカーに手をかけました。

「私の首て、今こんな感じになってるんだ」

 日向隊員がチョーカーをずらすと、そこには首元をぐるっと囲むぶっとい線が。3人の女子生徒はそれを見てびっくり。

「な、なに、それ?」

「ここにセラミックのリングを入れてもらったんだ。これでふらふらしてた首が真っ直ぐ立つようになったんだ。

 本当は繋ぎ目を消さないといけないんだけど、今成長期で肌がどの方向に成長していくのかわからないから、繋ぎ目はそのままにしておくことになったんだ」

 女子生徒A。

「ちょ、ちょっと触らせて」

 日向隊員は心の中でニヤッとして、

「いいよ」

 女子生徒Aの指が日向隊員の首の繋ぎ目に触れました。

「本当だ。何か硬い物が入ってる」

 女子生徒B。

「あなたも大変なのねぇ・・・」

 女子生徒Cも日向隊員の首に指を伸ばし、触れました。

「あは、なんかバラバラになっちゃった首と胴体をむりやりつないだみたい」

 これは事実。本当のことを言われ、日向隊員は思わず苦笑しました。

「あは・・・」

 ここで日向隊員は先ほど見た黒い肌の少女を思い出しました。

「そう言えば、さっきものすごく美しい人を見た。あんな美人、今まで見たことないよ。あれは2年生なのかなあ? それとも3年生?」

 女子生徒Aが反応。

「へ~ どんな人?」

「東南アジアの人なのかなあ? なんか肌が黒くって・・・」

 それを聞いた途端、3人の女子生徒は固まりました。女子生徒Aは怖い眼差しで、

「日向、その人の話はしないで」

 その発言に日向隊員はびっくり。

「え?」

 さらに女子生徒B。彼女の眼差しも変化してます。

「もしまたその人の話をしたら、私たち、あなたと縁を切るから!」

 ええ、なんで?・・・ 日向隊員は釈然としません。でも、今はみんなと仲良くしないといけないとき。日向隊員はこれ以上はこの話に触れないでおくことにしました。

 ここで扉が開き、担任教師が入ってきました。

「よーし、みんな、ホームルーム始めるぞ!」

 ちなみに、この男性の名前は万田。万田先生です。

 初日てことでホームルームは1人1人自己紹介。日向隊員はまたもやみんなに首の繋ぎ目を披露。みんな、ど肝を抜かれてました。


 授業が終わり、みんな下校支度。日向隊員も仲良くなった3人に別れを告げ、帰路につきました。

 日向隊員はしばらくはおとなしく歩いてましたが、あるものを発見してはっとしました。角を曲がった瞬間、例の黒い肌の少女が前を歩いてたのです。

「あ、あの人・・・」

 その瞬間日向隊員は、先ほど女子生徒Aに言われたことを思い出しました。

「日向、その人の話はしないで」

 あれはいったいどういう意味? その解決は本人に訊くのが一番! 日向隊員はその黒い肌の女生徒に声をかけようとしました。が、ここで異変が。

 4人の男子が黒い肌の少女の前に現れたのです。4人ともどう見ても典型的な不良。日向隊員は嫌な予感が。

「な、なんなの、あいつら?」

 日向隊員はたまたまその場に駐車してあった1ボックスの軽自動車の陰に身を隠し、この様子を観察することにしました。

 黒い肌の少女は4人に囲まれ、2言・3言。そのまま移動を始めました。その姿を見て日向隊員はある人物を思い出しました。山際怜子。そう、日向隊員が金目ひなただった時代、何度も何度も恐喝し、自殺に追い込んでしまった少女です。

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