君のテレストリアルガード 24

 テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。卵型のテーブルの上に置かれてた固定電話が鳴りました。テレビでアニメの録画を見ていて隊長が、その受話器を取りました。

「はい・・・」

 次の瞬間、隊長の顔は急激に青ざめました。

「ええっ、なんだって!?」


 夜のテレストリアルガード基地の外観。今1機の飛行機が滑走路から垂直に離陸しました。クレイン号です。反重力エンジンを使ってるせいか、無音です。

 ジェットエンジン点火。クレイン号は急発進しました。

 その機内。操縦席には橋本隊員と寒川隊員。乗員席には隊長・上溝隊員・女神隊員・海老名隊員が座ってます。海老名隊員の口の左端は、隊長に殴られたせいで青く腫れ上がってます。女神隊員はフルフェイスのヘルメットを被ってました。全員隊員服を着てます。

 誰1人口を開きません。隊長は深く考えてます。

「く・・・ まさか倉見が・・・」

 隊長は横目で後ろの座席に座ってる海老名隊員を見ました。

「やっぱこいつの予言は当たる。当たるとわかっていて、なんで何もしてこなかったんだ、オレは・・・」

 クレイン号の行く手に病院が見えてきました。


 ここは病院内。今手術室の引き分けの扉が開き、1人の医師が現れました。扉の前には隊長ほか、テレストリアルガードの隊員全員が待ち構えてました。隊長の質問。

「先生、どんな具合ですか?」

「非常に危険な状況です。五分五分としか言いようがありません」

 隊長はそれを聞いてショックを受けました。他のテレストリアルガードの隊員も、しゅんとしてします。

「すまん、ちょっと考えさせてくれ・・・」

 と言うと、隊長は振り返りました。振り返るとき、海老名隊員の顔を一瞬見ました。どうやら合図を送ったようです。海老名隊員はそれに気づき、つぶやきました。

「隊長・・・」

 隊長は奥へ歩いていきました。海老名隊員も隊長のあとを追いました。


 ここはデイルームのようです。幅広の一本引き戸が開き、隊長が入ってきました。隊長は1つため息をつくと、何気なく天井を見ました。

 ドアが自動的に閉まる寸前、再び一本引き戸が開き、海老名隊員が現れました。

「隊長、言った通りでしょ。あの女は・・・ すみれは死神だって! あの女がいなければ、倉見さんはあんなひどい目に・・・」

 隊長はその発言を遮るように、吼えるように叫びました。

「ふざけんなよーっ!」

 さすがの海老名隊員も、この咆哮にはひびりました。

 隊長は今度は少し小さな声でしゃべりました。それでも声に角があります。

「二度とその話はするな! あいつは・・・ あいつはオレの大事な娘だ。絶体死神じゃない!」

 隊長は海老名隊員の顔を見ました。今度は落ち着いた口調です。

「お前もオレの大事な娘だ。さっきは殴ってしまってすまなかった・・・」

 隊長は海老名隊員に深々と頭を下げました。それを見て海老名隊員は慌てました。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。隊長!」

 隊長は顔を上げ、

「テレストリアルガードの隊員は、みんな、なんとなく君の超能力に気づいてんな・・・

 君はテレストリアルガードの隊員が2人死ぬと予言した。それを聞いてオレは、みんなにそれを伝えようとした。けど、できなかった。その結果がこれだ・・・」

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