私が愛した男《ひと》 22
女は1つのフルフェイスのヘルメットを右手で持ち、それをカメラの方に見せつけました。
「このヘルメットに見覚えはあるかな?」
そのヘルメットを見て、女神隊員と海老名隊員は驚きました。
「ああ、それは・・・」
そのヘルメットは先ほどテレストリアルガード基地を襲った女エイリアンが被っていたヘルメット。そう、この女は先ほどの巨大化した女エイリアンなのです。
女エイリアンの話は続きます。
「ちょっと身の上話するよ。短くまとめるから、ちょっと聞いてね~
私の愛する夫は宇宙鉱物資源探査のスペシャリストだった。なかなかの腕前でね、いろんな辺境の星に行っては、次々と山を当ててったんだ。でもね・・・
ちょっと前にこの星系に来たんだけど、この星の人たちにむごたらしく殺されちゃったんだ。ちゃんとルールを守って探査するはずだったのにさ・・・
私の大事な夫を殺した人は誰なの? ねぇ、教えてよ! ねぇ!」
海老名隊員がぽつり。
「知らないわよ」
女神隊員は4章の全員巨大化できる4人組の宇宙人を思い浮かべました。
「もしかしてあのときの・・・」
ノートパソコンの中、女エイリアンが1枚の写真をカメラの方に向けました。そこにはヘルメット姿の女神隊員が映ってました。
「こいつよ、こいつ! こいつが私の夫を殺したのよ! こいつ、絶対許せない!」
海老名隊員は女神隊員を横目で見ました。
「記憶にあります?」
「う、うん、なんとなく・・・」
再び女エイリアンの発言です。
「さっきこの女に会ったんだけどさあ、こいつ、私の顔面を思いっきり蹴っ飛ばしたんだよ。信じられな~い。ほんと嫌な女!
あんた、これ、見てるんでしょ? こっちへ来なさいよ! テレポーテーション能力があるってことくらい、知ってんだから!
まあ、来るわけないか・・・ でも、これを見たらどうなるかな?」
カメラが切り替わりました。大きな十字架が映ってます。誰かがその十字架に縛りつけられてます。その人はパンツ一丁で、口には猿ぐつわがあります。その人は・・・
「あなたたちの大事な隊長さんよ」
その女エイリアンの発言を聞いて、海老名隊員も女神隊員も愕然としてしまいました。
「た、隊長!・・・」
女エイリアンが短いムチをくるくると回しながら、
「へ~ 意外といい男じゃん。ふふふ」
女エイリアンは隊長のひざを見ました。なお、コルセットなどの治療器具はありません。
「あなた、ひざを骨折してるんだって。触っただけでも激痛が走るのかな? ふふ、ちょっと試してみよっか」
と言うと、女エイリアンはムチを大きく振り上げました。
テレストリアルガード基地のビルの中、茫然と見ている海老名隊員。
次の瞬間、激しく振られたムチが隊長のひざを捉えました。ビシッ! 猿ぐつわのせいか悲鳴は聞こえてきませんが、隊長の顔は大きく歪みました。これはかなり痛そう。
唖然とする海老名隊員。
「え・・・」
女エイリアンはもう1回ムチを振り上げました。
「もう1発やっちゃおっかな。ふふふ」
女エイリアンのムチは再び隊長のひざを捉えました。今度はさっきより力が入ってたらしく、女エイリアンは荒い鼻息を発しました。
「ふん!」
隊長は再び顔を大きくゆがめました。
「やめてーっ!」
海老名隊員は思わず叫び声をあげました。
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