神の国を侵略した龍 9

 隊長が顔を上げると、目の前に女神隊員の身体が転がってました。彼女の特徴的な単眼が丸見えです。隊長はそれを見て、女神隊員のヘルメットを取ったことを悔やみました。こんなところを新○や文○や東○ポなどのパパラッチに発見されたら、女神隊員の単眼が撮影され、世間に公表されてしまいます。いや、今は素人のカメラマンさえ怖い状況です。それだけは絶対避けないと。

 隊長はなんとか立ち上がると、再び女神隊員の身体を抱き上げました。


 一方10発のミサイルを同時に喰らってしまった怪獣は、若干きつそうです。

「くそーっ、へんちくりんな魔法弾を使いやがって!」

 怪獣は空を見上げました。しかし、雲がぶ厚く、敵が見えません。

「雲に紛れて攻撃する気? 小賢しいわ!」

 怪獣は耳を澄ませました。聞こえてくるジェット音。怪獣はジェット音が聞こえる方向をにらみました。

「こっちの方角か?」

 怪獣は火焔を吐きました。その火焔にさらされ、その部分の雲が吹き飛びました。その透間からこっちに向かってくるF2戦闘機5機が見えます。今F2戦闘機が再び2発ずつ、計10発ミサイルを発射。怪獣はそれを見て、口の中に炎を溜めました。

「へへっ、丸見え!」

 怪獣が火焔を吐きました。それがミサイル10発を爆破、さらにF2戦闘機5機までもが一瞬で消え去ってしまいました。怪獣は高笑い。

「ふははは、こんなもんなの? この世界も全部私のものよ!」

 次の瞬間2発のミサイルが飛んできて、怪獣の首筋にヒット。怪獣は再び悲鳴を上げました。

「ぐはっ!」

 そのミサイルを撃ったのはヘロン号でした。コックピットの橋本隊員が大喜び。

「ふっ、こいつ、ミサイルは効くぞ!」

 倉見隊員がそれに応えました。

「光学系兵器は一切効かないクセにミサイルは効くなんて、へんてこりんなやつですねぇ」

 橋本隊員がヘルメットと一体になった無線機で連絡します。

「上溝、聞こえるか?」


 テレストリアルガード基地オペレーションルームのコンソールの前に座ってた上溝隊員がそれに応えました。

「はい!」

「ストーク2号にありったけのバンカーバスターとジェイダム爆弾を積んで来てくれ!」

「了解!」

 その上溝隊員に海老名隊員が喰いつきました。

「私も行く!」

 海老名隊員はまだ中学生。本来なら連れてってはいけないのですが、上溝隊員はあまりストーク号を操縦したことがない上に、操縦しながらミサイルを撃つことはほぼ不可能。ここは海老名隊員に助けてもらうことにしました。


 再び渋谷周辺です。ヘロン号がビルとビルの合間を飛んで行きます。怪獣が火焔を短い間隔で連発しますが、ヘロン号にはまったく当たりません。怪獣は悔しがってます。

「くっそーっ、ちょこまかちょこまか動き廻りやがってーっ!」

 怪獣はいかにもドラゴンて感じの翼を広げ、はためかせました。すると怪獣の身体が浮きました。それを見て倉見隊員はびっくり。

「あ、あいつ、空を飛べるのか?」

 飛び始めた怪獣が空中で火焔を連射。ヘロン号はそれを次々と避けていきます。橋本隊員はそれを横目で見て、

「ふふっ、おもしろいじゃないか! ついてこい! ついてこい!」

 ヘロン号はビルの谷間をスラロームで飛んで行きます。怪獣がそのあとを追い駆けます。が、翼がビルに接触し、バランスを崩してしまいました。

「うわっ・・・」

 怪獣の身体は道路上をスライディングするように落ちました。怪獣は飛行するヘロン号を恨めしそうに見て、

「くっそーっ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る