前方の敵後方の敵 12

 と、寒川隊員が四次元レーダーの異変に気づき、はっとしました。

「隊長、大変です! 透明な未確認飛行物体がいます!」

「何っ!」

 隊長はヘルメットと一体になった無線機に叫びました。

「女神、伏せろ!」

 地上の女神隊員はその声を聞いて、はっとしました。と、一条の光弾が女神隊員の真後ろから地面と平行に飛んできました。が、光弾が女神隊員の背中に命中する寸前、女神隊員は身体をさっと伏せました。通り過ぎていく光弾。女神隊員は少し顔を上げ、その光弾の行く先を確認しました。

 マニアたちはびっくり。

「な、なんだ、今の光弾は?」

 ストーク号のコックピットの隊長が寒川隊員に命令します。

「ミサイル発射!」

「了解!」

 ストーク号がミサイルを2発同時発射。そのミサイルが何もない上空で炸裂。すると大量の粉が発生。その粉の中から1つの機体が現れました。マニアたちはその機体を見て驚きました。

「あ、あれはスペースストーク号じゃないか?・・・」

 ストーク号のコックピットの隊長の発言。

「ふっ、やっぱり来たか」

 それに寒川隊員が応えました。

「そ、それが・・・ 状況からして、昨夜からずーっとここに着陸して待機してたようです」

「お、おい、ほんとか? なんでそんなめんどくさいことを?・・・」

 女神隊員は立ち上がり、そしてスペースストーク号を見ました。それを見た途端、女神隊員にある忌まわしい記憶が沸き上がりました。女神隊員が乗ってきた宇宙船を攻撃した3隻の宇宙船。その中心にいた宇宙船が今目の前にいるのです。

「あ、あの時の!」

 女神隊員の怒りのボルテージが一気に上昇しました。

「うぉーっ!」

 ヘロン号の橋本隊員はこの光景を俯瞰して、ヘルメットと一体になった無線機に話しかけました。

「隊長、どうします?」

 ストーク号のコックピットの隊長が応えました。

「ここは女神隊員に任せよう。あいつにだって分別はあるはずだ」


 スペースストーク号のコックピット。入谷隊長は不気味に眼を光らせました。

「ふっ、こいつ、延髄を損傷したんじゃないのか?

 撃て!」

 入谷隊長の右側に座ってた宮山隊員は、その命令に懐疑的です。

「いいんですか、隊長? もう正体がバレてますよ」

「構わん。正体がバレた時点で我々の懲戒処分は確定的だ。もう何やっても同じだろ。それにあいつはエイリアンだ。殺しても法的問題はゼロだ!」

「了解!」

 スペースストーク号が腹の砲塔からビーム砲を発射。ビームは女神隊員に一直線に向かいますが、女神隊員は直立不動のままハニカム構造のバリアを張り、そのビームを弾きました。宮山隊員はそれを見て悔しがりました。

「ちっ! バリアか?」

 今度は女神隊員がレーザーガンを構え、発射。スペースストーク号はその光弾をバリアで防ぎました。ストーク号のバリアと同じバリアです。入谷隊長の左側に座ってた番田隊員がニヤっと笑いました。

「ふっ、そこらへんのへなちょこエイリアンと一緒にするな!」

 これを見てマニアたちはざわつきました。

「お、おい、なんでヘルメットレディとスペースストーク号が闘ってるんだ? 仲間だろ?」

 女神隊員は今度は右手を真上に挙げました。するとその手に巨大な剣が現れました。女神隊員はその剣を振り上げ、スペースストーク号に雄叫びをあげながら突進します。

「うおーっ!」

 入谷隊長はそれを見て、

「おい、来たぞ。撃て・・・ いや、逃げろ!」

 それに宮山隊員が応えました

「了解!」

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