第561話 休日の講義5

少し前に海織が大学から帰って来て、無事に俺の部屋を最近訪れた人たちが全員何かしら物を忘れていたことが発覚し。さすがにそのまま俺の部屋に置いておいても―—というのと。まだ七菜が帰って来るまでは時間があるので、俺と海織は柊と斎宮さんのところへと連絡のち向かうことになり今2人で家を出たところである。


ちなみに柊と斎宮さんに連絡を先ほどしたのだが――返事が今のところあったのは海織がしてくれた斎宮さんだけである。柊は返事なし。メッセージも今のところは見ていなかった。

でも、とりあえず海織曰く。斎宮さんは「OKOK。今日は暇暇しててさっき起きたところだから問題なし!」というお返事があったらしい。うん。斎宮さんは平和みたいです。良い生活してますね。


ということで、俺と海織は話しながら伊勢川島駅を目指している。


「まだ涼しい時もあるけど。昼間は気温が上がってきたね。さっきも大学から帰って来る時ちょっと暑いくらいだったからね」

「確かに。今もちょっと暑いって感じだね。動いてると室内でも暑くなってきたから。さっきも服って持ってたかな?って確認したよ――ってよくよく考えるとまだ4月か……でももうすぐ5月か」

「まあ猛暑の前にはジメジメがあるけどね。あれはあれで嫌なんだよね」

「あー、梅雨ね。うん」

「洗濯乾かないしね」

「うん」

「2人分は大変だね」

「——それは海織が住み着いて普通に生活しているからだと思うのですが――」


うん。ホント海織俺の部屋で週の半分は生活してますからね。何かと2人分というのが多いんですよ。これもおかしい事何んですけどね。


「って、そうだよ。楓君楓君」


トントン。


俺がちょっと空を見上げつつ歩いていると。海織が何か思い出したのか。俺の肩を叩きながら声をかけてきた。


「はい?何?」

「ゴールデンウイークの予定だけどね」

「えっ?ちょ、ちょっと待って、いきなりなんか始まる?えっ?先の予定?いやな予感しかしないんだけど――」

「楓君がさっき5月ってことに触れたからね。それで思い出したよ」

「……ホントにちょっとだけ触れただけなんですが――ってなんかあったっけ?俺は思い当たることが無いのですが――」

「あれ?言わなかった?ゴールデンウイークは私の実家って」

「聞いてない……あれ?聞いた?うん?」


海織に言われて少し頭の中を検索――検索。と思っている間も海織の話は続いた。


「いやー、さっきね。楓君が部屋の掃除をしていた。って、言うのを聞いた時にあれ?なんか私もどこかでそんな話を――って思ってて。今の楓君の5月で思い出したよ」

「いやいや、どういうこと?」


うん。どうやら俺は――何かのヒントを海織に与えてしまったらしい。これは俺が巻き込まれる確率が跳ね上がったみたいだ。


「実はね。ママから部屋の家の片付けするようにって言われてたんだよ」

「……あれ?意外というか。海織って掃除とか完璧では?俺の部屋にはいろいろ持ち込むけど――大爆発とかはしないようにしてるよね?」


海織が部屋を散らけるというのは無いような……うん。ないな。基本海織の部屋も綺麗だからね。うん。俺の部屋もなんか物がたくさんあっても、きれいなのは海織がちょくちょくいじってるっていうのも理由だし。海織が散らけているというのはあまり想像できないでいると。


「実はね。こっちでいらなくなったものを実家にぽいぽい送っててね」

「……簡単に言うと。箱が積まれていると?」

「そうそう。で、ゴールデンウイーク中ママとパパ今年は旅行で留守にするから。留守番がてら。掃除しろーってね。そういえば言われていたんだよ」

「……えっと……行ってらっしゃい?」

「楓君も来るの。あと、沙夜ちゃんたちにも声かけようかなー。来年とかだと集まれないかもだからな。集まれる時に集まらないとだよ。バーベキューとかもうちならできるからね。あっ、また花火もできるよ」

「……そういえば前にそんなこともあったか。って、留守番と言えば。海織のこっちの家。部屋は常に留守のような――」

「ちゃんと家も使ってるよ?防犯はちゃんとしてるしね」

「……いや……俺のところに住み着いているような――」


海織とそんな話をしていると俺たちは伊勢川島駅へと到着した。

ちなみに今から乗る予定の電車は伊勢川島駅14時10分発湯の山温泉行き普通電車である。現在時刻は14時07分。うん。完璧。ちょっと話しながらでゆっくり歩くになっていたが。ほぼ駅での待ち時間なしという時間に俺と海織は到着した。

すぐに俺と海織は改札を抜けて――少しホームで待っていると、踏切の音と電車の走行音が聞こえてきて――いつもの3両編成の電車がやって来たのだった。


「私さっきも電車乗ったなー」


電車が駅に入っていると隣に立っていた海織がつぶやいた。


「1時間もしないうちにまた大学方面ですね」

「そうなんだよ。楓君が私を連れ出したから――何をしてもらおうかなー」

「おかしいおかしいから。勝手に話を変えない」

「ふふふっー」

「……怖い」


電車に乗り込みながら、ちょっと俺と海織の記憶に違いがあることが発覚したが――まあとりあえず俺と海織は電車に乗り込んだ。


車内はまだ空いている時間だった。学校が終わったのか少し学生の姿があったが。でも車内はまだ空いているので、俺と海織は空いていた席に並んで座る。


「で、楓君。連れ出したお詫びは?」

「だ・か・ら」

「はいはい。わかってますわかってます。冗談だよ」

「上手に言いくるめれていたら。アイスやらケーキの指令が来てそうだよ」

「あっ。それいいね」

「——ミスったか」

「だねー。晩ご飯の後にはスイーツだね」

「ちょっと待ってそれ、一人分増えない?」

「どうだろうね?私だけあると――七菜ちゃんが拗ねるかもよ?」

「……」

「あっ、楓君が黙った」

「……」


はい。何かを話すと、俺に被害が。ということがよく分かったので。俺はしばらくぼーっと車窓を見ることにしました。まあ俺の行動をちゃんとわかっていたのかは知らないが。隣に居た海織は、俺を突っついてみたり。ニヤニヤしていたりと――まあ楽しそうでした。はい。何をしてもいじられている俺でした。


そんなこんなで、数分の電車移動は終了して、14時21分菰野駅へと俺と海織は到着した。駅を出た俺と海織はまず斎宮さんのところへと向かったのだった。

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