第534話 まっしぐら11

「じゃあ柊。斎宮さんのお相手も――」


現在俺たちは近鉄四日市駅で名古屋方面の電車へと乗り換えるために移動中で――まあそんな中。俺がふと前を歩く女の子3人を見つつ柊にそんなことを言ってみると――この場合に関しては返事が即だった。うん。この返事は即返って来たのだった。


「それは拒否!」

「これに関しては反応が早いなー」

「いや、だって、沙夜だとマジで遠慮なくなるし。それこそ即破産だし。沙夜の面倒見るのはたまにで十分なんだよ。それなら2人分——頑張るな。いや――頑張ってどうにかなるのか?うん。俺——当面貧乏生活か?まとめ買い禁止か?」

「……柊の買い物行ったらドンとまとめ買いもすごいというか――うん」

「いやだって、なんか見てたら欲しくなるし。買い物って頻繁に行かない方だからさ。行った時――ってことになるわけ」

「——そして大量買いした一部は斎宮さんが持っていく」

「そう。そうなんだよ。なんか気が付いたら消えてるんだよな」

「……上手に使われている柊か」

「ってことで、今日まで沙夜にかかわれたら俺――死ぬ。本当に死ぬ。普段大変なんだからな?こいつホント――だから」

「そこまでかー」

「そこまでだな。うん」


柊が苦笑いしながらそんなことを言っていると――


「ちょ。柊!勝手に人の悪口言うな!丸聞こえだから!」

「……地獄耳。ってほら、楓が余計な事言うからー。どうするんだよ」

「えー。マジか」

「今日の沙夜は危険だな。ってことで、楓アレは頼んだ。俺は知らない。うん。関わらない。うん。蹴られても我慢だな」

「……柊。よく蹴られてるからね――うん。お疲れ様です」

「ちょ、柊!1回蹴飛ばす!ランチ私も付いてくから」

「ランチはマジで無理だから。ホント今回のは付いてこられてもマジで無理だから。ってことで楓パス。早急にパス」

「パスって言われても――」


うん。ちゃんと前にもこちらの会話は聞こえていたみたいですね。どうしましょうか。これだよ。と俺は思いつつ――って、階段で喧嘩が始まってもなので、まあその場は上手に収めるというのか。まあ、あれですよ。駅と言えば。というか。現状からして――俺たちは今電車の乗り換えをしようとしているところなので。


「あの。とりあえず斎宮さん。電車の乗り換え時間があまりないので、進んでください。はい、揉めるのはまた後で――」

「おっと、そうだった。とりあえず名古屋まで行かないとだよねー。って海織ちゃん七菜ちゃんが既に前に!」

「歩いて行ってますね」

「楓、何であとでとか余計なことを――俺の身が」

「それは――ファイトで」

「逃げる準備が必要か」

「仲がいい事で」

「楓はどこを見て判断しているのか」

「全体ですね」


とりあえず俺が乗り換え時間が無いアピールをすると――少し前を歩いていた海織と七菜に向かって斎宮さんが小走りで移動していきました。

そして俺と柊も追いかける。という形となりましたとさ。

って、実際乗り換え時間は本当に数分だったので――結構俺達ギリギリだったというね。


俺と柊が名古屋方面のホームへと到着すると――既に電車案内のアナウンスは最後の部分で――俺たちが到着と同時にくらいに乗る予定の急行が駅へと滑り込んできたのでね。うん。セーフである。


ちなみに名古屋行きの急行は近鉄四日市駅11時28分発。うん。ホント数分の乗り換えです。まあいつもの事というか。湯の山線からの乗り換え時間は短いことが多いのでね。はい。でもとりあえず名古屋行きの急行には無事に乗った俺達5人だった。


俺達が名古屋方面のホームへと到着し。その時に一番近くにあったドアから車内へと入った。

その車両はクロスシートの座席で、1つだけ席が空いていたので、斎宮さんと七菜が座り――その近くに俺と柊。海織が立つ。ということになった。

ちなみに前は女の子3人でこのクロスシートの2人がけのところに座っていたが――今日は海織が普通に俺の横に居たため。2人用のところにちゃんと2人座っている。という状況である。


ってか。海夜が座らなかった理由は――。


「で、楓君はさっきから白塚君と楽しそうに何を話していたの?」


うん。俺の取り調べ?みたいなものだった。海織は上手に俺の服を掴みつつ。俺の隣で立っていたのだった。

まあそんな中俺がちょっと海織の状況を見つつ返事をすると――。


「聞こえていたと思うんですがねー」

「楓君が連れて行ってくれるでも私は嬉しいよ?うんうん」


恐ろしい事を言いだす海織様だった。うん。様と言っておこうかな?とりあえず下手なことを言うと――なのでね。

あっ、でもそうなると――うん。様というのも変なことになる可能性があるから――うん。普通がいいですね。はい。普通に落ち着いて対処しましょうか。だった。


「ちょっと待って。待とう。おかしな方向にしないで?うん。ってか。俺は海織にランチを奢るというようなことしてないからね?」

「えっ?してなかった?」

「——記憶を勝手に変えないでくれますかね?」


うん。さすが海織というのか――さらっとそんなことを言いだすので――俺が呆れつつ返事をしていると。座っている斎宮さんが――反応したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る