第419話 最終学年始まる3
いつものベンチにていつもの4人で昼食中の俺達。
海織が作ってくれたサンドイッチは綺麗に姿を消した。今は飲み物を飲みつつ。今年度の時間割を見ているところである。
「私はあと少し単位取ったらOKだから……」
「私もそんなに必死に詰め込まなくていいけどー。4年生ってもっと教科数が少ないと思ったけど……ビミョー」
「でもお金払ってるんだから。1年2年とかで重なっていて取れなかった教科取るのもありだよねー。気になってる科目は私あるんだよね」
「さすが海織ちゃん。常に勉強だー。でも私も取りたい科目あるなー」
俺の隣で女の子2人がそんなことを話しています。なおその反対側では……。
「朝からの科目……マジか」
うん。再履修などがある方もなんか唸っていました。
「楓は?」
「えっ?」
「どれくらい4年大学来るんだ?」
柊が各科目の詳細が書かれた資料を持つつ聞いてきた。
「まあ……普通に取れる科目取ってみようかと」
「……なんたるやつ。まあさっきも誰か言ってたな。同じような事。4年生でも取れるだけ単位取るとか」
「まあ柊は再履修を必死にするべきかと」
「くー。面倒だ」
「自業自得かと」
「っかなんやかんやでほぼ毎日来ることになりそうだし……マジかー」
「だから。それが自業自得かと。でもまあみんな週3くらいでは来るのでは?」
「まあゼミもあるからな。それに年間予定にある。卒業論文発表会ってなんだよこれ。楓先生」
「……まあ発表会でしょうね」
うん。俺も気にはなっていた。年間行事にさらっと書かれている卒業論文発表会。
卒業式に前になんか書かれているんだよな……と俺も思いつつ確認する。
「……そこにたどり着ける気がしない」
「それは留年を意味するかと」
「藤井寺先生何とかしてくれないかなー。さっき見かけたんだが」
「そうなんんだ?俺年明けて3年の講義で会ったのが最後かな……」
「なんかさっきは他の学生と話してたな。なんやかんやであの先生人気あるよなー」
うん。俺と柊がそんな会話をしているとお隣から……。
「楓君白塚君。そろそろ帰ろうか。ってなったんだけどどうする?」
海織が話しかけてきた。
斎宮さんはゴミを捨てに行ったらしく。後ろ姿のみ見えている。
「あー、だね。午後は何もないんだし。帰ろうか。柊は?」
「俺も帰るかね。そして真面目に時間割考えておかないとだし」
「ってことでこっちも帰る準備するから」
「うん。わかった。沙夜ちゃん戻ってきたら行こう」
それから俺と柊も片付けて……斎宮さんが戻って来ると俺達4人は湯の山温泉駅へと歩き出した。
その途中ずっと柊はぶつぶつ何かを言っていたが……まあね。必須科目を落とすと……なんで。4年の前期は本気で頑張ってください。というやつですね。
とか俺が思っていたら――。
「楓君」
「うん?どうしたの?海織?」
「七菜ちゃんから」
「七菜から?」
俺と柊の後ろを歩いていた海織が俺にスマホを見せてきた。
俺が立ち止まり海織のスマホを見ると……。
「宮町先輩。加茂先輩貸してください」
という文字が見えた。うん。見えたのですが……。
「なにこれ?」
俺が海織に聞くと。両サイドから柊と斎宮さんものぞき込んできた。
「楓がモテモテか」
「柊は何を言ってるのか」
「ストレートだねー。さすが七菜ちゃん。これは海織ちゃんから楓くんを奪い取る勢い。うん。面白そう」
「斎宮さんも何を言っているのか」
「まあとりあえず。いいよー。って返事はしてあるよ」
柊と斎宮さんがなんかわからないことを言った後に、海織もなんかわからないことを言ったのだった。
「……海織は勝手に人を貸し出さないでいただきたいのですが……って俺には何の連絡もないんだが……」
俺はそう言いながら自分のスマホを確認してみたが……特に新着メッセージはない。うん。いつも通り静かなメッセージ画面ですね。とか俺が思っていると。
「楓。俺も付いて行こうか?」
「揉めないのならいいが……」
「それは七菜ちゃん次第かと」
柊がそんなことを聞いて来て……。
「また七菜ちゃんナンパしようとしている馬鹿が居るよ」
と。斎宮さんが呆れた表情をしつつ。歩き出した。
「白塚君。他の事遊んでばかりだと沙夜ちゃん悲しむよ?」
「いやいや、毎晩乗り込んで……ぐはっ……」
「……柊の顔にトートバックがヒットした。うん」
俺は現状を見つつ言い。歩き出した。うん。この場に居ると巻き込まれそうなんでね。すると俺の横には海織がやって来て……。
「で、楓君いつの間に予定決めたのかな?」
「いやいや何を言いだすか。俺全く知らないし。七菜が勝手に言ってるだけかと」
「でも貸して。だから。デートじゃない?ニヤニヤ」
「……ここもホント何を言ってるのか」
「あっ、海織ちゃん楓くん待ってよー」
俺と海織が歩き出すと後ろから斎宮さんが小走りで追いかけてきて海織の腕に捕まった。
ちなみに……トートバックで顔面を攻撃されたお方は……。
「鼻が……鼻がー」
うん。何か硬いものが当たったのか。鼻を押さえつつ後ろで呻いていた。
まあでも柊が倒れていたら助けてくれる人は居るだろう。うん。
ってなんかどこもかしこも大変というか……キーマンは七菜のような……と思いつつ俺は駅へと向かったのだった。
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