第372話 出来た

七菜の部屋に荷物が届いてから……どうだろう?数時間は経過しただろう。

ちょうどお昼前?くらいに荷物が届いたため。そこから作業を開始した俺達はお昼休憩とかいうことなく。とりあえず一気に片付けをしていた。


そして――昼を過ぎて……いうか。もう15時前か。


「終わったー」


七菜がそう言って椅子に座ったのだった。そしてそれが片付け終了の合図となった。


俺は少し前から外出していて、七菜が「終わったー」と言った少し前に帰宅していたため。俺は七菜に声をかけた。


「お疲れ」

「あっ、そういえば加茂先輩。段ボール捨ててきてもらってありがとうございます」

「ああ。ここは幸いというか。リサイクルステーションが近くにあるからね」

「段ボールとかどうしようかと思っていたんですよ。ゴミの日っていつだろうとか。ちょっと地味に心配していたんですが。先輩のおかげでそれはなくなりました」

「あっ、そうそうこれ鍵ね」

「あっ、はい。受け取りましたー」


俺は先ほど外出する際に借りた七菜の部屋の鍵を七菜へと返した。

いや七菜も片付けをしているのでね。俺が出入りをする度に呼ぶのも……だったのでね。少し鍵を借りていた。


えっ?俺がどこへ行っていたかって?それは――。

このアパートから歩いて数分かな?ちょっと歩くと。段ボールや新聞紙。雑誌。アルミ缶などを捨てれるところがあるため。そこへと段ボールなど片付けで出た物を捨てに行っていた。


いや、アパート近くのゴミの日。資源ごみの日とかに出すとか言う方法ももちろんあるのだが……資源ごみの日がね。終わったばかりで約2週間後だったのでね。

俺は片付けの途中に七菜に「段ボールとか要らないなら捨ててこようか?」と提案をして…。まあ1人でちょっと2往復くらいしてきたんですよ。はい。


24時間捨てれるところがあるってなかなか便利ですよ。うん。


ちなみに俺がゴミ捨てに行っている間に七菜の部屋ははじめ来た時の殺風景な状態から一気に女の子部屋という感じになっていた。

今は置物やぬいぐるみが棚とかに置かれていたので……ホントちょっとしたことで部屋の雰囲気って変わるよな……とか思いつつ俺は部屋を見ていた。


って――そう言えば……。


「—―七菜」

「はい?」

「海織は?」


うん。確か七菜の部屋で片付けの邪魔をし……いや。まあちゃんとお手伝いしていたか。うん。ちょっと所々というか。遊んでいる?感じも海織はあったが……まあ大きな妨害をすることはなく。ちゃんと片付けをするときはしていたからな。

そして確か俺がゴミを捨てに行く時まではこの部屋で七菜と一緒に作業をしていたと思ったのだが……とか思いつつ七菜に聞いてみると…。


「宮町先輩なら。お昼ご飯を食べ損ねちゃったから。って。今作ってくれています」

「えっと……それは……俺の家かな?」

「だと思いますよ?ここには居ませんから」

「……ホント自由に人の部屋使うな」

「加茂先輩。宮町先輩に甘いというか。自由にさせ過ぎじゃないですか?ってホント自由に出入りしているんですね。先輩に声もかけないで出入りできるとかすごいです」

「……ホントだね。びっくりだよ。ってか一度部屋戻って様子見てくるよ」

「わかりました。私はちょっと干してある物を片付けたら先輩の部屋行きますね」

「了解。って俺も洗濯しまわないとだな」


ということで七菜の部屋の片づけを終えて。これで七菜も普通に1人暮らしが出来るようになった。お手伝いを終えた俺は自分の部屋に戻ると……部屋の中は良い香りがしていた。


「あっ、楓君おかえり」


部屋へと入るとやっぱりと言うべきだろう。

普通に海織が俺の部屋で料理をしていた。


「うん。ただいま。えっと海織は……」

「あっ、これね。お昼ご飯食べ損ねちゃってお腹空いたでしょ?」

「まあうん。お腹空いた」

「ってことで簡単だけどおうどん作ってます」

「それは助かるね」

「あと洗濯物部屋の中には入れたよ」

「それも助かりました」

「あと。ちゃんと私の洗濯してくれる楓君は今日も帰るなよ。のアピールだよね?」


海織がお玉を持ちながらニヤニヤしているのは……まあうん。いつもの事ですね。


「うん。違うね。って洗濯物畳んでこようかな」

「あっ。ちょっと楓君」

「海織。火のそばから離れない」

「……はーい。出来たら七菜ちゃんも呼んでね」

「七菜も洗濯しまったら来るって」

「了解ー」


それから各自が作業をして……途中で七菜が俺の部屋へとやって来て……かなり遅めのお昼ご飯を俺たちは食べたのだった。


本日のお昼は海織特製簡単でも美味しいうどん。うん。俺が勝手に命名しておいた。まあうどんですね。ってか俺の部屋の冷凍庫にあったものだけで美味しいものが出来上がっていました。


うどんを食べ終えた後は、俺が食器などの片付けをしていると七菜が俺と海織に声をかけてきた。


「そういえば加茂先輩。宮町先輩」

「なに?七菜ちゃん」

「うん?」


俺は作業をしつつ海織の隣に居る七菜の方をちょっと見た。


「先輩方はこの後の春休みどうするんですか?やっぱり4年生ですから就職関係で忙しいんですか?」

「あー、それは大丈夫だよね。私たちみんな決まっているようなもんだから」

「えっ?」

「まあ。それぞれ実家方面でー。ってことだね」


とかまあこの先の事というのか。そんなことをちょっと触れて話していたら――。


「ってことは先輩たちと春休みたくさん楽しめると」


七菜がそんなことを言いだして……うん。俺の隣に居た海織の目が輝いていた。


「そうだね。七菜ちゃんも入学まで時間あるもんね。って高校の友達とかと出かけたりあるんじゃないの?」

「いやー、それは特にないですかね。私はとっとと出てきた子ですから」

「なら私たちが振り回してあげよう」

「振り回されるのは……ですが」

「海織がさらっと。たち。って入れて俺を巻き込んできたような…」


俺が片付けをしながらつぶやくと……ちゃんと海織たちの方まで俺の声は聞こえたらしく…。


「楓君。せっかく時間があるんだからできることはたくさんしないと。来年はそうはいかないかもしれないんだよ?」

「まあ……そりゃそうだけど」

「ってことで。七菜ちゃんいろいろ予定考えようか」

「あっ、いいですね。私こっちの事ほとんど知らないんで」

「ならたくさん案内しないとね」


うん。その後は七菜の部屋で海織と七菜が楽しそうに何かずっと話していた。

いや――俺居なくてもいい気がしたんだが……出て行くタイミングを逃してね。たまに話も飛んでくるし。まあ結局片付けを終えた俺は大人しくしていましたとさ。


っか、この2人おしゃべり好きだな。と認定した俺だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る