第327話 とある男の場合2 ~メッセージ~

「とにかく。白塚君今何してるの?」


と電話口からは宮町さんの声が聞こえている。


「いや、まあ寝てた」

「そうなんだ。それはごめんねー」

「いや、まあでも予定があったからさ。ちょうどいい目覚ましだったんだけど」

「あっ。そうなんだ……らしいよ」

「うん?宮町さんなんか言った?」


なんか電話口の向こうで宮町さんやっぱり誰かに話しかけているような……という感じがあった。まあ間違いなく沙夜だと思うが……。


「うんん。なにも。気のせいだよ。で、予定あるのに電話してて大丈夫?」

「あー、昼からだからさ」

「あー、もしかして沙夜ちゃんに隠れて?」

「違うからなー、単に高校の同級生と遊びに行くだけだからな」

「かっこいい、かっこいい白塚君は高校の同級生の女の子の遊びに行くのかー」

「……なんですと!!」


確定。沙夜の声が聞こえた。つまり隣に居る。と思っていると。


「ちなみに男もいるからな。って沙夜何してるんだよ」

「沙夜ちゃんは居ないよ?」

「いやいや声したよね?」

「い・ま・せ・ん!」


うん。それは認めないらしい。なので……まあ気にしないことに。


「……何考えてるんだか」


俺がつぶやくと――。


「ところでさ。同級生の人とはどこ行くの?」

「えっ?いや、普通にただ名古屋駅近くで飯食ってー。だけど。みんな忙しくて昼しか集まれなくてな」

「そうなんだ。楽しそうだね」

「まあ久しぶりだからな」

「じゃ、後でまた連絡するね。朝ご飯が到着したからね」

「えっ?」


と、俺が言うとそこで通話終了。いやいやなんだったんだよ……ってあとで?と俺は思ったが。そこそこの時間宮町さんと話していたため。着替えへと移ることにした。


♪♪


とか思っていたら。すぐにまたスマホが鳴り……再度楓のスマホから……なんか3人分の朝食?っか沙夜の姿も写ってるな。って楓の家でなんかしてたのか。


そしてどうやら楓がパシリにあった。と思われる写真が届いた。

まあそのメッセージに返事は……いいだろうということで返事はせず……ってか、いやこういう時に遅刻は。だからな。こっちの準備優先だよ。


まあ宮町さんの「後で?」がちょっと頭に残ったが……今の画像が「あとで?」なのか……。

まあちょっと気になったが特にその後宮町さんからの再度連絡はなかったため。俺は着替えやら準備をして。実家を出発。バスに乗り。岐阜駅までやって来た。そして名鉄岐阜駅に行き……次に発車する急行に乗り名古屋へと俺は向かった。

まあ無事に予定通り昼に名古屋に俺は着いていた。


あーそうそう、俺が同級生の奴らと合流する直前にまた画像が来たか。今度はランチー。とか書かれていたな宮町さん沙夜が写っていて……まだ可哀そうに楓の部屋が占拠されているみたいだった。まあ連絡はそれだけだったか。


その後のこっちの予定はホント食事だけだったからな。ちょっと集まって食って話して解散だった。


そして少し忘れていたが。解散後すぐくらいだったか。宮町さんから連絡が来たのだった。っか。タイミングが良すぎて怖かったな。同級生らと別れたら即って感じで。誰かがなんか伝え忘れたとかで連絡してきたのかと思ったよ。いや、マジ奇跡的なタイミングだったな。


♪♪


「やっほー、またまた海織だよー」


そんなメッセージ画面を見つつ。今日の宮町さんテンション高いな。っかなんなんだ?と思いつつ俺は返事を返した。ちなみに今回はちゃんと宮町さん本人のスマホからだった。


「今日は何かあったっけ?」


返事をしてみると――。


♪♪


「白塚君今どこ居るの?」


と、なんか朝と似たよなメッセージが……ってこれ絶対沙夜がなんかしてるんだろうな。うん。間違いない。と、思いつつ……。


「もう予定が終わって帰るところだな。ちょうど今名鉄の名古屋駅向かって電車乗ろうとしているところ」


一応事実を送った。嘘を言ってもだからな。なんか宮町さんには見抜かれそうだし。


実際俺は移動していて先ほど名鉄名古屋駅の改札を抜けたところ。いやJRでもよかったんだがな。解散したところが名鉄の改札に近かったからそのまま名鉄に入っただけだ。


♪♪


またメッセージが届く。確認してみると……。


「何分の電車乗ろうとしてるの?」

「……」


何故に宮町さんが……いや隣に居るであろう沙夜がそんなことを気にしているのだろうか……そもそも沙夜は宮町さん使って何してるんだ?と思ったが……。


「14時25分の特急だけど?」


と、まあこれも本当の事を送った。今ちゃんと乗車位置に並びながら。俺の乗る予定の電車の発車時刻を電光掲示板で確認してメッセージの返事を送ったからな。


っか――なんで電車の時間何か聞いてくるんだ?とか思っていると……その間に電車到着。岐阜行きの特急が駅に入って来た。そして電車に乗り込んだ時か。


♪♪


「沙夜ちゃん名古屋に行ったんだけど……会えた?」

「—―は?」


なんだと?沙夜がこっちに居る?っか楓のところで昼一緒に食ってなかったか?とか思いつつ。


今俺の周りにはたくさん人が居るが……沙夜の姿はもちろんだがないっか。なんで沙夜がこっちに向かっているかがわからないんだが……まあ今ここで沙夜に掴まると実家についてくる可能性があり面倒なことになるので……電車に乗った俺が勝ちか。

って、あれか。宮町さんが俺に連絡してきていたのは。沙夜が俺にそっち行くとか連絡してきたら即無視予定だからな。それを見越してか……とか思いつつ。


「悪い。もう電車乗った後って沙夜に伝えてくれ」


と、返事を送る直前だった。


♪♪


再度俺のスマホのメッセージが……って沙夜からだった。


「いまここ!」


という言葉とともに画像が1枚。これは……近鉄名古屋駅だな。そして時計がちょうど……14時20分くらいか。ってことは……。


――いやいやマジかよ。結構近くに沙夜が居たらしい。が、俺はもう電車の中。事実を言うと……沙夜がキレているかもだが……まあ電車乗ったし。特急だし。うん。しばらく止まらんからな。仕方ない。逃走は成功ということだ。


なので俺は先ほど書いていたメッセージを宮町さんではなく沙夜へと送った。

まあ怒ったのだろう。その後沙夜からの返事はなかった。


のだが……それから30分後?くらい後か。


――――。


「……はっ?どうなってるんだ?」

「あー、しんどい。ハードだったー」


……まさかの名鉄岐阜駅に沙夜が立って居たのだった。

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