第230話 朴葉味噌後3 ~お電話中~
「ってことで、2人でイチャイチャしているから。私に自慢するためにメッセージを送って来たと。何たる2人かー」
現在海織のスマホから斎宮さんの声が聞こえてきている。いや、響いている。というのが正しい表現かもしれない。
こうなったのは少し前の海織の行動が原因である。うん。
なんか海織が自分のスマホをポチポチしているなー。とか思っていたら。それからすぐに海織のスマホが鳴った。その電話が斎宮さんだったという事だ。
ちょっと何を送ったのか聞いてみると……。
「楓君がいじめてくるー。パンツ見られたー。いじめられるー」
とかまあ……うん。なんか下手したらお巡りさん呼ばれるんじゃないの?みたいなことをですね。送ったらしくてですね。怖い怖い。
そんな文面が来たからかすぐに斎宮さんが俺に電話を代われと言ったようでしてね。すぐに海織のスマホが飛んできました。
嫌な予感—―と、思いながら恐る恐る電話に出ると……。
「……はい」
「楓君。ついに海織ちゃん泣かせたんだね!」
「……はっ?」
うん。何かわからないが。楽しそうな。めっちゃニヤニヤが伝わってくる斎宮さんの声が電話口からしました。
あれ?俺が予想していた感じではなかった。
「で、襲ったの?襲ったんだよね?」
「何もしてませんからね!?」
「えーーー!?じゃあさっきのはなに!?」
誰か耳栓をください。至急。鼓膜がやられます。
そして斎宮さんのご近所の皆様。夜中に騒いでいる方が居るかと思います。本当にごめんなさい。こちらでもうるさいと思うレベルなので……結構響いているかと思います。はい。ってホント結構いい時間なんだからお静かにお願いしますよ斎宮さん。
「……海織がミスして自爆しただけだから」
「自爆ってひどい」
今度は隣からブーイングが来ました。
「海織。お静かに」
「むー」
そう言いながら海織が俺の横にくっついてきた。多分斎宮さんの方にも海織の声が聞こえているみたいで――。
「ってことで、2人でイチャイチャしているから私に自慢するためにメッセージを送って来たと。何たる2人かー」
とかそんな声が。はい。これが現在。
「お風呂入ってゆっくりしようと思ったら海織ちゃんから楽しそうなメッセージ来たから何があったのかと期待したのにー。単なるいつも通りのイチャイチャかー」
「いつも通りって」
「で、楓君。海織ちゃんのパンツは?」
「……何故にそうなる!?」
「ほらほらー」
「感想感想。私も気になる」
「海織。なんでこういう時は恥ずかしがらないのかな?」
うん。しばらく女の子2人が元気でした。
結局それから30分くらいこの2人は話していたのではないだろうか。
俺は海織に捕まり――なんか。身体中触られていたというか……うん。そういえば俺カピバラになってましたね。これ……よく使われてる。うん。捕まっていたのでずっと横に居ました。はい。
「じゃ次こそバイバーイ」
そしてやっと斎宮さんとのお電話も終わったようで――うん。終わりました。
「海織は夜中に何してるんですかね……斎宮さんまで巻き込んで」
「あれれ?楓君がいけないんじゃなかった?」
「いやいや完全に海織のミス。海織スタートです」
「いや、まさかね。あの時は自分でもびっくりしたよ」
「でしょうね。こっちはさらに驚いたけど。普通に置いてあったから」
「で、さっきも沙夜ちゃんが言ってたけど。感想は?」
「……まだ聞くか。何故過去に戻っちゃうかなー」
「一応気になるじゃん?」
「なんで!?」
「……今後的な?」
「わからないので回答を控えさせていただきます」
「それを拒否します!」
「拒否しないでください」
なんで海織はこんなに目をキラキラさせているのでしょうか――眠いのかな?眠いんだよね遅い時間になったし。そうだよね?だからテンションがおかしいと。うん。
「沙夜ちゃんとの電話で目も覚めたからオールでお話の相手するよ?カピバラ楓君?」
「これを着ることになったのも海織が原因かと」
「ノーノ―」
「突然キャラを変えないでください」
「とりあえず。感想は?」
「……こだわるね」
「ジー」
「効果音を勝手につけないでください」
「……楓君がご希望ならもっと過激なものも用意するけど――?」
「いろいろやめてください」
「なるほどなるほど。楓君はシンプルがいいと」
「ちょっと?」
うん。さっきから何をしているんだろうか。あれか。やっぱり夜だから2人ともテンションがおかしくなってきたというのか……うん。おかしいのかな?ってまあシンプルがいいと思うけど……って俺は何を言っているんだ。うん。やっぱり夜中になんかするのはダメだな。早く寝ましょう。うん。って……いつものパターンだとこのまま海織もやって来るから……ずっと聞かれる気がする――。
「ってか海織」
「うん?」
「普通の服に着替えていい?」
「ダメー」
「何故!?」
「今からもふもふタイム?」
「なぜに疑問形?」
「まだ確定してないからね。楓君の反応を見て決めるから。反応によってはマッサージコースとかもあるし」
「なんとまあ種類が豊富なことで……まあ遅いから寝よう」
「あっ、楓君はもふもふが良いんだね」
「もうわけわかんない」
「あー、楓君が雑に扱ってきたー。泣くよ?」
「誰か助けて――」
「ふふふっ」
はい。その後もしばらくなんやかんやとありました。
海織がくっついて来たり。やっと横になったと思ったら、背中でなんかモゾモゾというか。うん。くすぐってくるというか。突っついてくるとか。なんかいろいろしてくるお方が居ましたので。
これ寝れないじゃん。とか思っていたのだが……でも不思議なことに――。
気が付いたら朝で。
気持ちよく寝ていたというね。なんでだろう。海織の……癒し効果?いや……単に海織のお相手をして疲れたからぐっすり寝れたというやつか。
うん。結局俺は朝までカピバラを着ていた。
そしてそのうち海織にペンギンの着ぐるみでも着せるかとか。思っている俺だった。あっ、ペンギンはたまたま頭に浮かんだからです。はい。その他かもしれません。
って――朝になっても変なテンションが抜けてなかったと。気が付いた俺でした。うん。顔をぺチぺチとしていたら。お隣でニヤッとしている海織さんが居ました。あれですね。俺がなんかしていたから起きたと。うん。か。すでに起きていた……ということもあるかな?
うん。ホント……平和ですね。はい。多分平和です。
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