第162話 月曜日 ~伊勢川島駅08時38分発~
今日は大学が1限からある日。うん。休日モードだった身体に鞭を打ち起きた。本音はもう少し寝たかった……。
――そういえばここ最近は1人で起きることが多い気がする。まあそれが普通か。1人暮らししているんだから。
まあこの土日は海織が静かだった。というか。連絡も来ていないので本当に静かだった。海織は海織の生活があると思うので……多分何か用事があったのだろう。実家に帰ったりしている時の海織だと。バタバタしてた。とかで連絡がこないことはまあまああることなので。まあそこまで頻繁に海織とは連絡とってませんからね。はい。多分。
ちょっと眠たい中。朝ごはん食べて。荷物を持って外へ……うん。今日は傘が要りますね。玄関のドアを開けるとパラパラと雨が降っていた。
土日はいい天気だったのだが。確か……昨日柊と焼き肉行った帰り。すでに曇っていたか。そんなことを思いつつ。俺は傘を持って家を出発した。
伊勢川島駅に向かって歩いているとだんだん雨が強くなってきた。こういう日は駅に着くと……屋根のあるところに人が密集している。
大きな駅とかでは電車が止まるところのほとんどに屋根があると思うが……田舎というか。ローカル線はね。1車両分とか。階段近くのみ。または改札近くにしか屋根が無かったりするため。現在学生やらで屋根のあるところだけ人が密集状態。
俺はその人混みを抜けて傘を差しなおし。後方車両に向かった。こちらは屋根がない為人は少ない。3人ほど立っているだけ。
雨の日は屋根のないところが比較的空いているのでね。
そんなことを思っていると遠くから踏切の音が聞こえてきた。そしていつもの3両編成の電車……あー、今日はラッピングがされている車両が伊勢川島駅に入ってきた。どこかのキャラクター?だろうか。ちょっとわからないのだが、たまにやってくるカラフルなラッピング車両が今日は入ってきた。
そして電車が俺の前で止まる。傘を閉じて車内へ入る。
――。。
何だろう。何か違和感があったような……とか思いつつ。席は9割ほど埋まっていたため。俺はドア付近で立って行くことにした。
……ってそうだ。海織が待っていないんだ。
いつもなら当たり前のようにドア付近。俺の乗ってくる場所を予知というのか。うん。予想ではなく。あれは予知だな。予知して待っている海織が今日は待っていなかった。
確か今日は海織も同じ講義なので乗ってくると思ったのだが――。
スマホを見てみるが。特に連絡とかはない。先ほども言ったと思うが先週から連絡はしていない為。履歴は先週の日にちのまま。
そんなことを思っていると電車は菰野駅に到着。
「おはよー」
悪天候の中。1人だけ快晴みたいな雰囲気?の斎宮さん登場。車内ではお静かにお願いします。視線が集まりますから。
「おはよう。斎宮さん。柊も」
「おお、おはよ、昨日楽しかったな」
「そうだー、楓くんも昨日柊と焼き肉だよね?いいなー、いいなー。私も焼き肉って知っていれば向かったのに……」
「あれ?柊から焼き肉って聞かなかったの?」
「柊さー。ご飯食べに行くしか言ってないんだよー。そしたらお肉の写真送ってくるし。あー、今もめっちゃお肉食べたい」
「ははは――それは柊の説明不足かと」
「いやー、焼き肉って言った気がするんだがな」
「言ってない!。って、楓くん楓くん今日海織ちゃんは?」
「ご覧の通り、今のところ不在ですね」
「えっ!?なんで?海織ちゃんお泊りしてないの?」
「いや、柊にもよく言うけど、そんなに毎日は……」
うーん……思い出すと、何か最近はほぼ毎日が正解なような気がするのだが……気のせいだろうか。うん。気のせい……ではないか。
「ほぼ毎日だよー。朝は楓くんと海織ちゃんがラブラブしている姿見て癒されてたのにー」
「……それ癒し?って車内ではお静かに――」
「で、海織ちゃんは?」
「もしかしたら用事があって先に行っているとか……休みとか?この土日も忙しかったのか。連絡してないからな」
「楓くん。そこはちゃんと確認しないと。ほら早く連絡連絡」
そんなことを斎宮さんが言った時だった。
「3人ともおはよー」
「あ!海織ちゃん居たんだ」
「うん。先頭車両に居たんだ。そしたら、菰野駅で沙夜ちゃんたちが見えてね」
「心配したんだよ?楓くんと一緒に居ないから」
「ごめんごめん」
女の子2人がそんな感じで話している。何か久しぶりではないが3日ぶり?くらいに海織を見た気がするが。うん。元気そうです。
「どうしたの?」
すると、俺の前に海織が来ていた。
「え?うん?なに?」
「不思議そうな顔していたからね」
「そうかな?」
「週の始まりだからね。だるいよねー。あっ、そうそう白塚君」
「は、はい?」
急に声をかけられたからか柊が驚いていた。柊はスマホを見ながら完全に違う事していたからね。っか柊見て思い出したが。そのうちゼミの卒論の事でヘルプが来るのだろうか……とか思っている俺でした。はい。
……その時1人の女の子はちょっとした違和感をおぼえていたらしい。
電車はその後も問題なく走り続けて多くの学生たちを乗せて08時59分。湯の山温泉駅に到着。
駅に着いた後は講義棟に向かって4人で歩いている。
俺の前を先ほどから話をしている海織と柊が歩いている。なにやら柊が海織にお願い?をしていたらしい。柊が顔を出しているサークル。難波先輩?のところかまでは聞いていないのだが。とりあえずサークルでの集まり食事会に海織を誘っていたらしい。その話はチラリと昨日聞いた。何やら人気者の海織と食事をしたいという方が多数いるやら。そして接点のある柊が……という感じらしい。人気者も大変である。
ちなみに、海織からは聞いていなかったので行くのかは今のところ聞いていないが。俺的には海織にはしたいことをしてほしいので、特に何も言うつもりはない。
「今週だよね?」
「そうそう急なんだけどさ。ちょっとでいいからとかみんな言っていたんだけど……」
「じゃ、ちょっとだけ白塚君に貸しを作るのは今後役立ちそうだからね」
「……俺大丈夫かな……」
少し前からはそんな会話が聞こえてきた。
そういえば柊と海織が話しているため。斎宮さんと俺が余っているというのか。2人の後ろを歩いているのだが……うん。俺のお隣さんは難しい顔をして柊と海織を見ていて……たまにこちらを見ていた。というか。今たまたまこちらを見たのか。俺と目が合った。
「えっと……斎宮さんどうかした?」
「うーん」
「うん?」
何かを考えている様子の斎宮さん。今はそっとしておこう。うん。考え事を邪魔しちゃ悪いですからね。はい。
なんか雨も強くなってきたので前の2人の声も聞き取りにくくなってきた。この雨はいつまで続くのだろうか。とか俺は歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます