第117話 ボウリング ~湯の山温泉駅13時00分発~
6月11日。今日は海織の誕生日。
そして海織の希望により。今年は……柊と斎宮さん俺のいつもの4人でボウリング場に居ます。はい。いつもなら誰かの部屋で。とかになるかと思ったのだが。海織が「久しぶりにボウリングしたいなー」と言ったのに斎宮さんがくらいついて「じゃ海織ちゃんの誕生日。今年はボウリング大会だ!」みたいな感じで決まりました。決まるのは早かったです。女の子2人最強です。男の子2人は……一言も発していません。そういえば最近の柊はサークル出つつもこういう何かある時は必ずこちらに来るようになりました。いいことです。はい。触れても教えてくれないのでこれくらいで……。
今日は講義が午前中だけだったので、講義が終わったらそのまま駅まで移動。そして湯の山温泉駅。13時00分発の近鉄四日市行き普通に4人で乗り。途中近鉄四日市駅で乗りかえしつつ。お昼も途中で食べてからボウリング場へやってきました。
なんとなくというか。話の流れでボウリング場まで来たが。俺ボウリング場来るのって確か……小学生以来なのですが……できるかな?とか思っている横で現在女の子2人が中心に早速受付をしてくれています。
柊は……何してるんだ?と、近くに行ってみると……なんかスマホ見つつ「ボウリング、上手く投げるコツ」とかで検索かけていた。って俺もちょっとそれは見たいかもしれない。
「柊。それでうまくなれそう?」
「微妙。基本しか書いてないわ」
「その基本も俺知らないかもしれないけど」
「楓はボウリング久しぶりか?」
「かなり久しぶり。記憶では数年ぶり……数十年ぶりかも」
「俺数か月ぶりだが。とりあえず沙夜がうまいんだよ。だから今日こそは勝たないとなんだけど……」
「斎宮さんボウリング得意なの?」
「平均1ゲームスコア150前後」
「……マジ?」
「マジマジ。2、3回一緒に来たことあるけど。なんか上手なんさ。沙夜のやつ。俺は下手だから毎回負けるんだよなー」
「……俺まず100もでるかな……」
「大丈夫だろ。楽しくやれば」
「—―かな」
そんなことを言いながら海織と楽しそうに受付をしている斎宮さんを見る俺……ってちょっと待って。これで海織も上手いと……男性陣がボロ負けの可能性がある。とか考えていた俺。だが。1時間もしないうちに、1人裏切り――?が居た。うん。裏切りだ。仲間と思っていたが。違った。
まあ俺が勝手に思っていただけだが。
女の子2人が受付をしてくれたので、レーン。投げる場所を確認してから。シューズを借りに行く。
「ボウリングなんて久しぶりだから楽しみ」
「海織は、昔はよく来てた?」
「高校生の時は友達と何回か行ったかなー。あっ、あとパパママも好きだから何回か行ったよ?楓君は?」
「かなり久しぶりですね。はい」
「じゃ、勝負しようか?」
「なんで俺が負けそうなのが目に見えているのにそれを提案してくるのでしょうか……」
「ふふふ。とりあえず勝った方が1日相手を自由にできる権利とかかな?」
「やめて、なんか。大変な未来が今見えた」
「えー。仕方ないなー。じゃあ……おでかけにまた行こう!」
「ちょっと待って、なんか海織が勝つ前提で話が進んでない?」
「えっ?そうでしょ?」
「ちょっと!?」
海織とそんな話をしつつシューズを借りて、次にボールを探しに行った。結構種類があったが。自分の指が入るものを探すのがちょっと大変でした。本当は軽いボールがよかったが……適度な重さのあるものになりました。まあ、指が入らないから仕方ないか。途中柊も俺と同じところのボールを取りに来たので、このあたりが平均なのかな?とか思っていた。
「海織ちゃん。楓くん早くー!」
レーンに戻ると斎宮さんがすでに準備OK。って感じで待ってました。慣れているというか。準備が早い。
「沙夜ちゃんやる気満々だね」
「もちろん!今日は海織ちゃんの誕生日だけど私が主役だね」
「おっ、これは本気でやらないとね」
「海織ちゃんが私に勝負を挑んできた!」
前の女の子2人は……盛り上がっています。一方男性陣は……。
「……大敗が見えてきた」
「だろなー。沙夜とやると……後半悲しくなるから」
「後半?」
「いつも3ゲームくらいするんだけど。沙夜は基本ずーっと。絶好調って感じだから。普通3ゲーム目とかに疲れてくるはずなのに、沙夜にはそれがないんだよ」
「すごいな斎宮さん」
「でしょでしょ?」
どうやらこちらの会話を聞いていたらしく斎宮さんが急に俺の隣に座って話に入って来た。
「ぶっちぎりで勝つから見ててね」
「ははは……見ててって言われたけど、普通に俺の名前もあるので……」
画面を見ると、1番目が海織。その後に斎宮さん。柊。そして俺の順番だった。まあ順番とかどうするのかと思っていたが勝手に決まっていました。まあでも最初よりはいいかな。
「あっ、タイム。飲み物買っておこうよ。柊お願い」
「はいよ」
柊が自販機に……って本当に柊が素直にというか。斎宮さんのお願いをすんなり聞いていくこの光景よ。とか思っていると。
「楓君。私もお茶が欲しいかなー」
「……はい」
うん。俺も立ち上がる。はい。言われたら動くです。自販機に向かうと柊に追いつく。
「うん?楓もか?」
「そう頼まれた。ついでに自分のもって感じ」
あまり話していると斎宮さんが叫びそうなので。ちょっとだけ柊と話しつつ飲み物を買って戻る。そして1ゲーム目がスタートした。
「よーし。ちょっと緊張するなー。1番って」
「ファイトー。海織ちゃん」
海織の1回目は合計8本ピンを倒した。
「あの2本当たったと思ったのにー」
ぶつぶつ言いながら海織が俺の横に帰って来た。そして斎宮さん……。
――――ちょっと待て待て、なんかここからレベルがおかしくなった。
「よっし!スペア」
斎宮さんは1投目で8本ピンを倒し。そして問題なく残り2本も2投目で倒しスペア。ってフォーム綺麗だし。上手。さすが自信あるだけはあった。そしてだ3人目が問題だ。
「あー。ストライクは無理か」
なんかこの真面目になったイケメンさん。スパン!と気持ちよく投げているのですが。そして斎宮さんと同じくスペア。
柊のやつ……絶対に上手いに入るだろ。と思っている俺の番。俺?真ん中にはボールがいったが。見事にピンが左右にわかれて残りました。そして2投目。そんな斎宮さんや柊のようにコントロールのない俺。綺麗に溝掃除をボールはしていきましたとさ。
「楓君ドンマイ」
「ははは――やばい気がしてきた」
「はいはい。海織ちゃんだよー」
「あっ。そうだね」
1回投げただけでこの後なんか大差が生まれそうな気がしている俺でした。はい。
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