case10

 「あちらに見える場所わかりますか?あの横断歩道で昔に幼い子供を連れた母親が信号無視をしてした大型ダンプカーにはねられまして、残念ながら2人ともお亡くなりになってしまいました・・それ以来ここをこの時間帯に通る乗用車を恨むような目つきであそこにその母親が立ってる姿がよく目撃されてるんです。傍らに子供がしがみつきながら。」


「運転手さんは見たことあるんですか?」


お客様は私にいろいろと聞いてきました。


 「いや、私はないのですが同僚は見たことありますよ。その時に撮った心霊写真なんかもございます。宜しけれお見せしましょうか?」


場を盛り上げるために事前に用意した心霊写真集をダッシュボードの中に入れてたんです。実際そのスポットで話をするだけでは恐怖感が物足りなくなる事もありますので、実際に社員が心霊巡礼企画のために各スポットで写真撮影をするんです。目的は心霊写真を撮るために。実際に何十枚も撮影してそのうちの数枚には必ずなんらかの現象が写り込むんです。


 「運転手さんこれ顔が写り込んでるじゃないですか・・」


「ええ。あのお地蔵様のちょうど横、あの辺りですね。女の方の顔が大きく写り込んでるのがわかると思います。」


その写真にははっきりと黒い髪の右半分だけの女性の顔が写ってました。その写真をお客様に見せたとたんに一気に空気変わりましたね。女性のお客様なんかもうなにも言わず口を手で押さえたきりでした。

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