case8

 代行タクシーというのは飲み屋に車で来たお客さんを乗せて、そのお客さんの車があればそれを運転して自宅まで送る仕事なんですよ。ちょうど私入れて3人になりますかね。


 「この場所に行けばいいすね。分かりました。お客さんそんなに飲んでないんすね?」


「そんなに飲める口じゃないですからね。嗜む程度ですよ。」


代行タクシーの運転手とまるで普段お客様に話しかけてるタクシー運転手してる時の私の時と重なる瞬間を味わえるなんとも言えない空気が流れるんですよね。タクシー運転手が代行タクシーに乗ると。



 で、世間話をしながら自宅の方へ代行タクシーが走っていくんですが、途中に代行タクシーの人があの峠道の入り口へと入ってしまったんです・・


「あ、ここ通るんですか・・」


私がそう言うと代行タクシーの運転手が不思議そうな顔で言ったんです。


 「え?ダメなんすか??ここ通ったほうが近くていいじゃないすか。」


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る