第28話へ?は?!何それ?

「大濠君。アキラを諦めてくれないか?」

須佐さんにそう言われて・・・ん?となった。


「ずっと・・。アキラを追い掛けてきたんだ。ジュンを紹介するまで俺達は本当に仲が良かったと思っていた。」

?が脳内をグルグルと。


え?待て。須佐さんの好きな人ってアキラさんなの?!

「アキラさんなんですか?!!」


「当たり前だろ?君がゲームを始める前から彼のリアルは知っていた。アキラの住んでる県、下の名前の漢字、大学や年齢とかからフェイスプラス&ブックってあるだろ?あのアプリで特定出来てね。本当に色々と捜したよ。」

俺じゃなーい!!

いや、怖っっっ!ストーカーやん。


「西山暁。俺にとってのアイドルみたいなものさ。フェイスプラス&プラスで彼の日常はこっそりチェックしていた。イケメンで優しそうな顔立ち。ゲーム内でのチャットも非常に楽しかった。」

須佐さんが嬉しそうに語る度に寒気がする。


この人が好きなのは俺では無くアキラさんで?

えっ?じゃあなんで?俺をアプリ退会させた?


「ゲイは気持ち悪いって言ってたじゃないですか!元彼の悪口やアキラさんの悪口も散々言ってたし!」

全然、意味が解らん!


「俺も直接連絡していないのに。何故、大濠君なんだい?先ずはそこにムカついたね。絶対、2人を会わせたくなかったから君を退会させたし連絡先も削除させたよ?」


いや。あのー。もうこの人の弄れた考えがホンマに解らん。


「元彼は純粋にムカついたけど。俺はゲイでもノンケでも関係無く彼を追い掛けていたし。」

そう言って俺へ微笑んで更に追い討ちの言葉をかけた。

「リアルで連絡先を交換したと言っていた大濠君は邪魔だと思った。」

須佐さんの顔が怖い。


あの連絡先削除させられた時と同じ顔だ。

迫力とかドスの効いた声とか。

「彼はアイドルだからね。彼氏とか作ってはダメなんだよ。」


この人・・病んでる・・・?


「まさか大濠君が俺の店から営業が外れるとはね。何かと見張りたかったのに。万が一って事があると困るから。」

思考回路がまーじービビるー!!


「あの。須佐さんは直接連絡取ろうとしなかったんですか?取れば良かったのに。」

必死の反論。

そこ、俺は間違った事言ってないぞ?


俺ばかり責められるの間違っている。


「アイドルは愛でるもの。」

須佐さんにそう言われてまた鳥肌たった。


この人・・可笑しい?


「大濠君はアキラとは離れるべきだ。東京に戻ってうちの営業をしていれば良いんだよ。」


俺・・・。やっぱりこの人の思考回路が全く解らん!!!

さっきアキラさんに態度悪かったやん?会った時睨んでたよ?


「須佐さん!アキラさんは譲れません。と言うか物じゃないですから!アイドルでも無いです!彼は西山暁って言う1人の意思ある人間です。」

はぁはぁ。もうヒートアップしてしまった。


「直接!アキラさんに言ってください!俺は彼が大好きです!」

キッパリはっきりと言ってやった。


「大濠君は解ってないなあ。」


は?


「俺は間違った事言ってませんけど?アキラさんが好きなら何、その態度?全く意味が解らないです!!」


俺、何かめちゃくちゃイラついてる。


「ジュン。大丈夫?大丈夫じゃないよね?」

俺がヒートアップし過ぎた声を聞きつけてアキラさんが心配そうに寄ってきた。


「よっ・・・寄るな!!」

須佐さんは相変わらずな態度。


「そう言う訳には行きませんよ。ヒロさん。ジュンを困らせないで下さい。」

アキラさんはもう車まで来てしまった。


「アキラ・・・。」

須佐さんはやっぱりアキラさんを睨みつけて不服そうな顔をして車の窓を開けた。


この人・・・。ツンデレ?

いや?デレなし?


仕事の時間も迫っているし。もう暴露しちゃうか。

何だろう。一瞬でも須佐さんが俺を好きなのかと思った自分にもイライラしてきた。


須佐さんは完全にイカれてる。

勝手な具現化?アイドル化?


「ヒロさん。俺はジュンと付き合っています。ジュンの事は譲れません!」

まだ理解していないアキラさんは須佐さんに怒ったようにそう言った。


「アキラ?君は何か勘違いしてる?」

須佐さんが不思議そうな顔をした。


いや。勘違いするだろ!とツッコミどころ満載なんだけど。


「アキラ。君は誰かと付き合うべきじゃないよ。だって君はアイドルだから!」


「は?」

アキラさんの目は点になっていた・・。


「アイドルじゃないか。君はSSSバーガーの顔になっていた事もあるだろう?」

須佐さんは嬉しそうにアキラさんに微笑む。


顔?

アキラさんを見ると思い当たる節があるのか深く溜息を着いていた。


「あれは・・・。アイドルでも何でも無い。たまたま選ばれただけですよ。恥ずかしい黒歴史みたいな物なのに。」


アキラさんが言うにはSSSバーガーは毎年、全国アルバイトの中から5~6人選んでアルバイト募集のポスターにしたりトレイに敷く紙に載ったりするらしい。

アキラさんはアルバイトを始めたばかりの頃に当時の店の店長から推薦で本社に履歴書が送られてオーディションに通ってしまったと。


知らなかった・・・。


「あの時のポスターとかアルバイト募集のチラシとか?まだ持っているよ。」

須佐さんが嬉しそうに語るとアキラさんの顔も引き攣っているし。

俺もまたまた鳥肌たった。


もう逃げたい。車内に居たくない・・・。


「ヒロさん。俺、貴方とは付き合えません。だからお引き取り下さい。」

「そうです!もう諦めて帰って下さい!」

須佐さんの顔!怖い!!


俺が耐えられなくなって車を降りるとアキラさんが護る様に俺の腕を掴んで自分の元に引き寄せた。


いやいや。俺じゃなくて護らなきゃいけないのってアキラさんじゃない?


俺がしっかりしなきゃ!


「全く話が通じないなあ?」

須佐さんは不服そうな顔で車を降りてきた。


話が通じないのはお前だろ?!!って言いたいけど!


やっぱり怖い!!!どうしよー!


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