第2話 二月〜始まり〜

「すぅぅ〜はぁぁ〜」

 深呼吸。二月の冷たい空気が肺の中に広がる。何度深呼吸をしただろうか、まだ俺の待ち人は現れない。

 今日は二月一四日、バレンタインディ。

 この日は、女子が気になる男子に本命を、どうでもいい男子には(お返し目当てに)義理チョコを渡す日である。

 俺は別に好きな女子からチョコをもらったわけではない。そんなことがあるならばどれほどいいことか……。


 俺は今から好きな人に告白をする。


 伝える言葉はただ一つ−−−



「好きです。結婚してください」


 そんな、ちょっとどころではなくピントがズレたお付き合いは、バレンタインディにスタートしたのだった。

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