7話 雷と砂塵

 雷と砂塵




「あれ? 雷が落ちてこない? すごい音はしたが」

 

 取り敢えずあそこで首をかしげている、松平って人を攻撃して倒してしまわないと! 砲撃を開始!

 

「イダダダ! アッツイ! 鉄の塊と火の粉が大量に降ってきた!」

 

 上空での爆発おそらくアレに雷が当たったんだと思う。だからこそ、命拾いしたけど、音も、火炎もすごいことになっている。相手もこちらも逃げ道はない。ならば!

 

「ここで一騎打ちよ!」

 

「いや、俺は逃げさせてもらう。ゴト様から呼び出しが来ているからな」

 

 え、此処からどうやって? そういう前に、地面に札を張って、ショートカットして逃げて行った。

 

「とりあえず、私もここから離れないと、砲撃でかき消そうかしら」

 

 とりあえず、砲撃で火をかき消して、その場から離れた。

 

あれなんか忘れているような気もするわね。……あっそうだ! 不審な話声だわ。その声の場所に攻撃をぶち込もうと思ってたんだったわ。な、なんか攻撃しようとした方向で、わじゃわじゃ動いているわね。気持ち悪!

 

「ふわあははははは、貴様。あの時はよくもやってくれたな! 俺は、あの女によって粉々になったが、あの後、逃げて、こいつらに会い、肉体? いや器を手に入れたのだ!」

 

 かなりの恐怖心が何処からともなく出てくる。なんで? でもあれはかなり怖い! 何故か賢者の吸石を思い出す! 

 

「私を壊したと思っていたか? だが、我は生きている! さあここに首を曝せ!」

 

 あの一人称おかしくなっている感じ、もしかして、

 

「あなた、賢者の吸石かしら?」

 

「そうだ、俺は賢者の吸石だ! まあ今は、賢者の砂とでも名乗るか。貴様らのせいで、こんな姿になってしまったが、新しい器を作って、今はこの通り」

 

 暗がりから、片目が髪で隠れ、片腕の無い中性的な人が出てきた。白衣を着て、眼鏡をかけている。かなり怖い。けど! 

 

「何とか足止めして見せるわ!」

 

 ってあれ、なんか賢者の砂から手がない方の肩から、手が生えてきた? どうなっているの? その手が伸びて、こっちに向かってくる! とりあえず砲撃で! 腕は霧散して、賢者の砂は回避行動をとった。つまり、賢者の砂の胴体に攻撃すればいいのよね! 撃って撃って撃ちまくれー! 撃ちまくっていると、一発が命中。と思ったのに、

 

「ふん!」

 

 なんか隠れている目からビーム出なかった? それによって相殺されたんだけど。

 

「やはり、やはり! このボディは最高だ! これで私は、皆が楽して過ごせる世界を……いや、世界を支配! ……いや、なんだ、考えがまとまらない。どうしてだ!」

 

 何か混乱してるけど、その間にも腕が迫ってくる。砲撃でも消せないから幻影? いや、でもそれを確かめるってなると、あの手に触らなきゃいけないからそれはやる訳にはいかないわね。ビルに当たらないように、何とか回避して、砲撃を続ける。

 

「無駄だぞ、無駄よ。無駄だ!」

 

 なんか常に目が光っているんだけど、それによって、防衛されているみたい。敵の腕がまだ追ってきているし。

 何とかビルの隙間から抜ける、するとそこには、

 

「どうしたでござるか? っと、成程、あの時の奴でござるな。では、拙者も共に相手しよう」

 

「ありがとう! 助かるわ」

 

 大量の敵を圧倒していた様で、ボロボロに傷ついた敵が、怯えつつも逃げようとしている。たしかにこの基地で待機していたのは、非戦闘員と留守番役の者たち。だからこそ、ここまで楽に戦えて来た。だから敵のこの反応は理解できる。だから、

 

「異様な敵でござるな。好戦的、恐怖を与える。そして、強力。ならば、何故こちらにいるのでござろうか?普通ならば最前線に行くはずでござろう」

 

「なんか、会話を聞く限りだけど、研究中または調整中っぽいわね」

 

「会話なんて、余裕だな。まあ一度負けているから、しょうがないわね。でも、だが、前の儂と思うな!」

 

 腕がある位置から、砂があふれ出す。それらは、刺の形になり、私たちを取り囲んだ。

 

「では死ね!」

 

 刺が私たちに襲い掛かる。刺ぐらいなら何とかなるかな? 戦車を出そうとして思い留まる。そうだアイツが無生物に触れると、吸収するんだっけ? 危ない、危ない! けどこの状況どうすればいいのかな? とりあえず電撃を周囲に発する? いやそれだとムーンにもダメージが!

 

「闇を開放するでござる」

 

 瞬間、頭上の方に闇が現れる。それは、砂を吸収して圧縮し、塊にした。

 

「くっ! そんな能力を持っているやつがいるとは、とでも言うと思ったか! 儂は、吾輩は石だ、くっつけたところで、簡単に操作権は消えたりしないぞ!」

 

 何かやってきそう! 頭上に石があるのは怖いから、とりあえず逃げよう! 後ろに跳んで距離も稼ぐ。しかし、石は動くことなく、宙にとどまった。

 

「何故だ、何故動かないの!」

 

「重力でござる。弱い力といえど、人類には使いこなしづらい力。人類には過ぎた力にござる」

 

「くっ! ならば、また砂を増殖するまでだ!」

 

「記憶力が死んでいるのでござるか? 砂なら、すべて重力で吸収してやるでござる」

 

 すべての砂がやっぱり、吸収されていく。一か所で集めているから、どんどん大きくなっていく。

 

「ここだ!」

 

 重力で集められた、砂からトゲ出てきた。ってこっちに向かって伸びてきて!

 

「っうううううう!」

 

 肩に刺さった! めっちゃ痛い! 今にも転げそうだわ。でも踏ん張らないと!

 

「成程、一撃にすべてをかけたでござるか」

 

「ふん、まさか避けられるなんて思っていなかったが。こうなったら、我は逃げるしかない」

 

「逃がすと思ってか!」

 

「その娘っ子をここで見殺しにするというのなら、我を追ってくるがいいさ!」

 

 あ、ここに置いて行かれると、たしかに、死ぬかも。でも、でもさ。

 

「私は追いて行って。あいつはここで仕留めないと! あいつは人を殺して、能力を吸収するわよ!」

 

「ああ、そうさせてもらおう。と言いたいが、あいつを倒す術がござらん。なので、お主の回復を先決しよう」

 

「あ、ありがとう」

 

 そういうの本人に言う? とか思いつかずにそのまま倒れた。少し回復するまでこのまま……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る