15話 和解と同盟

和解と同盟




ふう、なんとか二人を止められたわ。皐月と、皐月が戦った敵が止めに入ってくれなきゃ危なかった。


「ありがとう、二人とも」


「だ、大丈夫だよ。凄く疲れたけど」


「いいよ~。流石にきつかったけど~」


「なんで止めるの! もう少しで、もう少しで! 勝てそうなのに!」


「え、僕のほうが有利だったよね? 白虎召喚して、もう少しで、倒せるかと」


「あなたは、白虎に任して後ろに居たら、あたしの負けだったけど、あなたが前に出てきたことで勝機はあったんだよ」


「あなたじゃないよ! 僕は、奈波だよ! そんなことないよ、あそこで、後ろから攻撃が最適解だよ」


「んなことない。さっきの戦い、あれは悪手だったぞ」


と男の指摘に、


「ごめんなさい、飯野師匠」


あ、大人しく過ちを認めた感じね。そんな事より、


「「「「飯野?」」」」


たしか探していた人の名前、飯野だったような気がするわ。


「ん? 確かに、自分の名前は飯野だが」


「って事は、あなたが私の探していた、飯野さんですね。私の師匠、福留のもとに飛ばしてほしいのだけともお願いできるかしら?」


「福留か、聞いたような聞いてないような? いつ自分の前に現れたとかわかるか?」


「4年前よ。4年前に、あなたのいた町に行って、そこで消息不明、そこにいた文に話を聞いたら、あなたが送ったって話を聞いたのだけれども」


「四年前……あ、あの他人の分身を作るやつか?」


「そうそう、その人よ!」


真井が、凄く頷いているわ。


「確かに、ゼロの世界に送ったな。だが、今送るわけにはいかないんだ。この魔術を使うのにかなり魔力を使うんだ。だから、此処の世界のエルピスを起こしてからでいいか?」


「それでいいわよ。って駄目よ! 私、何故か死の宣告を受けているのよ」


「どういう事だ? 呪い? 呪いか?」


「それが、未来演算機がそう計算したって話らしいんだ。たまに会う忍者の人が言ってたよ」


「ああ、皐文かな? だとすると、なんとか送ってやりたいのだが、それでも、こっちの事情を先行させたい。悪いな」


少しの沈黙。真井凄い考えているみたいね。で、


「分かったわ。それでいいわよ。だけど絶対に、あっちの世界に送ってね!」


「ああ、約束しよう」


「じゃあ、この人任せたわ。私たちは、太陽神を探しに行かなくちゃいけないのよ」


「ああ、それなら、自分たちと目的地は一緒だな」


「へ?」


どういう事なんだろう?


「まず、太陽神を起こすには、エルピスを起こしておいたほうがいい、その理由だが、先ず、エルピスが寝ている場所が、太陽神のいる大陸の浮上システムを担っているからな、で、次に、太陽神が協力的でない場合、エルピスなら抑えられる……らしい」


「なら、それでいいわよ」


「逆に、此処ぐらいなのだがな、大陸が浮上していない世界は」


「へー。で、あなたたちの目的は何なの?」


「エルピスを仲間に引き込みたい」


「なら競合しないのね」


私は、ギロリと飯野を睨みつけてみたけど、動揺する様子がない。って事は大丈夫そうね。


「ああ、大丈夫だ。問題は、太陽神が暴れないかだが、まあこの世界の太陽神は人間に興味無いだろうから大丈夫だと思うのだが」


「え、興味ないならどう勧誘すればいいの?」


「簡単だ。世界の話を説けばいい」


「あ、世界には興味あるのね」


「まあな、で、自分たちとしては、エルピスを助けるまで協力しようと持ち掛けたいのだがどうだ?」


話の流れ的にそうかなっと思っていたけど、


「いいわよ。ね、二人とも。そのほうが成功率高そうだものね」


「僕はいいけど」


「い、いいよ」


「あ、いいんだ。なら僕も問題ないよ。それで行こう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る