7話 雛の約束
7話 雛の約束
「ありがとうね」
「気にしやんといてな。ウエアさんの命令やし、うちもあんたらの事気にいってんねん」
「あ、ありがとう、ね」
「あんたまた戦ってな。えーっと、名前なんやっけ?」
礼華と呼ばれた少女はびしっと雛を指さす。いや人に対して指ささないほうがいいわよ。
「ひ、雛、赤井 雛」
「うちは赤井 礼華や。よろしくな」
握手しているわね。なんか仲良くなれそうだわ。って、
「あれ、二人共苗字同じなの?」
そんな疑問を口にすると、皐月が、
「あれ、式は知らないんだね。苗字は、陸海空で統一されているんだよ。例えば、僕だと海だから、藍井、式だと、陸だから黄井、雛は空だから、赤井。っていう風にね」
「そうだったのね」
「ああ、それとなな、白井もおって、偵察系で、小型のもん、例えば、ドローン系、後は監視衛星などが白井や」
「あ、後黒井は、輸送系、工作系だよ。た、例えば輸送トラック、工作船、後給油機とかもそうだね」
「へーそうなんだ」
「いや、皐月も知らなかったの」
「ちなみに名前のほうは、使う、機械兵器からとっているらしいで、中には、いろんな意味を持つものもあるから、その場合はリーダーの資質があるって事らしいで」
「その特別な名前の子に会ってみたいわね」
「あんたは一度会ってるで、ウエアさんは、元の名前で紀光 兎にもらった名前は、確か……黄井 サムやったからな」
「てことは、ウエアって人は、リーダーの素質があるって事なのね。ってあなたたちを育てたのって、睦じゃないの?」
「そうやで、うちらは、ここの世界から、円卓機工に入るために、世界転移したんや、それやから、ウエアさんはここの世界出身や。でうちは、絡繰り世界出身やけどな。そんで、あの子は、すべての地対空機工の上に立つんや。っとそうそう、うちはもう行くけど、なんかあったら、そこのボタンを押してくれたらすっ飛んでくるわ」
「ありがとうね」
「おう、じゃあな」
行っちゃったわね。少し気が抜けたからか、眠くなってきたわ。それはみんなも同じのようで、3人とも欠伸やら、目をこすったり、雛なんて、もうベットの中にいるわ。
「じゃあ、私も寝るわ。お休み」
「よし、みんな寝たね」
僕はさっきから聞こえている声に従って、まず部屋の外に、
「お、聞こえているみたいだね。じゃあ、そのまま右に曲がって、そうそう、じゃあそこの角で話そう」
あそこの角だね。少し暗くなっているから、怖いけど、多分声的に大丈夫だと思うから行ってみよう。
「やっぱり君だね。皐文」
「そうだよ。で、単刀直入に言うよ。ここから1週間以内に出たほうがいい、此処の皆を見捨ててでもね。戦争、いや一方的な殺戮になるよ」
ぞわっとする。また戦争、怖い。逃げ出したくなる。でも
「あの人たちと、ウエアたちと約束したから、僕たちは戦わなくてはならないんだ」
「うん、それもそうなんだけど、戦闘員は君たちと、ウエア、礼華だけだよ。それで勝てるとでも?」
「そうなのかい? それは勝ち目は薄そうだね」
「それに、僕は皐月、君だけに忠告しに来たわけではないんだよ。ウエアにも忠告したんだ。そしたら、他の逃げ場はないし、そもそも占いの話なんて信じないって、追い出されたんだ」
「まあ、そうだよね。僕も皐文の言葉じゃなければ信じないよ。というか今も信じてないかも」
「そうだよね。でも、もう一つ、さつき一号の準備しておいたほうがいいよ」
「さつき一号? 何だいそれ?」
「あ、知らないのかな? 君の機工は、睦月型と呼ばれていた。駆逐艦と、皐月の名前を冠する船なら造船できるんだよ」
「あ、そうだった。でも、さつき一号って船があったの?」
「あったみたいだね。とりあえずそれを造船。そして、ついでに一つ。真井を死なせないように注意して。何故かわからないけど、真井が死ぬと、機工全般が危機に陥るっぽいんだ」
「どゆこと?」
「僕にもわからないけど、未来演算機が出したものだから、ほぼ当たると思っていいよ。だから、気を付けてね。じゃあ」
そのまま陰に消えちゃった。でも未来演算機って何だろう? まあいいや、僕も、少し寝ようかな。
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